もしもエルウィン・ヨーゼフに奇跡がおきたなら
傀儡として望まぬ玉座に座らされ、あえて躾のなされぬまま育成され、駆け引きのために誘拐され、ついには行方不明になってしまったゴールデンバウム王朝最後の皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世。
「その終わるところを知らず」と歴史書に書かれたことから本当にその後、歴史の表舞台に出てこなかったのでしょう。
ただ、あまりにも可哀想すぎますし、たまに想像こともあります。
もしも、親切な誰かによって拾われいたらどうなったのだろうと。
物語終盤でも彼はまだ十代に満たない幼さです。
性格の矯正もまだなんとか可能でしょうし、彼の育成される状況が楽なものではないのは疑いようもありませんので、自ずと自制を覚えていくかもしれません。
物語終了十年後、元同盟領の片隅の孤児院。
親切な神父に拾われた彼は、「かつて皇帝であったことは夢だったのだ」と割り切って、市井の中のひとりとして生きていく。
そこへ彼を知ったユリアンが現れて…。
そういう未来もあってもよいのかなと。
もう考察でもなんでもないですが、たまたま最終巻を読み返したらそんなことを考えてしまいました。
ある意味、銀河英雄伝説の中で一番割を食った人物かもしれませんね。
ぜひ生存し、実りある人生を送ることを期待します。