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時事図解

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お母さんのための社会問題講座~豊洲の汚染水について(1)~

前回までは豊洲の土壌についてのお話でした。

お母さんのための社会問題講座~豊洲の土壌汚染は本当に処理されているの?~ 前編 

お母さんのための社会問題講座~豊洲の土壌汚染は本当に処理されているの?~ 後編 

そして今回からは汚染水のお話になります。

記事の流れとしては

1)汚染水ってそもそも何だろう?

2)汚染水処理プラントの仕組み

3)汚染水処理工事の概要

4)盛り土と地下ピットの水について

という流れで徐々に視点を広げていく感じの解説を行う予定です。

よろしくお願いします。

汚染水は呪いの水などではない

豊洲市場の地下ピットに水が溜まっていたことについて、各メディアは危機感をあおるようなタイトルで連日大騒ぎをしています。

www.jiji.com

www.jiji.com

メディアは汚染水、汚染水と大騒ぎですが、そもそも豊洲で発生する汚染水のとはどのようなもので、どんな性質なのかについて考えたことはありますか?

例えば、東日本大震災福島第一原発が被災したときも汚染水騒ぎが起きました。あの汚染水は【放射性物質に汚染された水】でした。

しかし、豊洲の水は【ガス工場の廃棄物に汚染された水】です。

 豊洲の汚染水は浄化可能な水

放射性物質に汚染された水】を処理するのはとても大変なことです。何しろノウハウがあまりありませんし、処理したあとの廃棄物をどうするかも難しい問題です。

ですが【ガス工場の廃棄物に汚染された水】というのは、どんな物質によって汚染されているかもわかっていますし、汚染物質が何かが分かっていれば処理する技術もすでに確立されています。そんなに難しい対処ではないということです。

 

それなのにメディアは汚染水をおどろおどろしく報道しています。

 

そもそも豊洲では汚染水処理も万全な対策を施しており、人体に影響を及ぼすレベルの汚染水が発生することはあり得ません。

 

現状で判明している「基準の4割のヒ素」「環境基準いっぱいの0.1㎎のシアン」といった汚染物質の検出は想定の範囲内の数値でしかありません。本来なら汚染水処理が成功していることを報道すべきなのです。

豊洲の汚染水の正体は?

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豊洲の地下汚染水がガス工場から由来していることは冒頭で述べました。

具体的には「ベンゼン類」「油類」「シアン化合物」「重金属類」と大まかに分けて4種類(より正確には7種類+1)の汚染物質です。

個々の汚染物質の紹介は前々回で行いましたので、気になる方はもう一度ご参照ください。

 

これらの汚染物質は、まずは土壌に染み込み、時間をかけて徐々に下へ下へと下っていきます。

図に「不飽和帯」「帯水層」という言葉があるのが分かるでしょうか。

ちょっとここで専門用語の解説になりますが、今後盛り土の話をするときに外せない言葉なので、まずはこの用語の解説からお付き合いください。

不飽和帯

私たちの周囲には空気がありますが、その中に目には見えない水蒸気も混じっていることはご存知だと思います。より身近な言葉でいえば湿気ですね。

同様に土の中にも水蒸気は混じっています。

中学校の理科で習ったと思いますが、水蒸気が水になることを「飽和する」と言います。次に説明する帯水層と違い、地表から帯水層までの浅い土壌のことを「不飽和層」と呼びますが、これは水蒸気がまだ水になっていない土壌という意味です。

帯水層

一方、地中深くになるにしたがい気圧が高まってくるため、気体だった水蒸気はやがて液体である水へと変化します。飽和現象です。

この深さの土壌を、水を帯びている層なので帯水層と言います。

この水はゆっくりと海へと向かって流れています。汚染物質がここまで浸透して到達してしまうと、水の流れに乗って拡散してしまいまい対処が難しくなり、同時に被害も広がります。そこで汚染水対策としてこの帯水層の水を浄化する対策がとられます。

詳細は次回以降に譲りますが、豊洲では水をくみ上げて浄化する方法が採用されています。

汚染物質と水の関係。そして汚染水処理は成功しているのか

地中深くに水を含む土の層があり、そこまで汚染物質が到達してしまうと汚染水になるという一連の流れはご理解いただけたと思います。

それではガス工場から出た汚染物質は水と出会うとどのような状態になるのでしょうか。

ベンゼンと油は水と混合している

水と油が混ざらないことは常識として読者の方もご存知かと思います。またベンゼンも水に溶けにくい性質をしています。

これらの物質が地下水のある場所まで浸透していくと、水には溶けないのですが、先ほど説明したように地下水には流れがあるため、広範囲に押し流されて広がっていくため厄介です。水に溶けない性質を持つため、図では「混合」という風に表現させていただきました。

 

もし豊洲市場の地下ピットにある水たまりがこれらを含んだ汚染水だとしたらどうなるでしょうか。

ベンゼン類」なら特有の甘い臭がしますし、「油類」なら水面に浮き出て目視が可能です。ベンゼンはかつて衣類の染み抜きに使われていて各家庭に常備されていたそうなので、臭いを知っている人も多そうです。今のこところそういった類の情報は無いので、少なくともこれらの汚染水ではないと言えそうです。

シアン化合物と重金属は水に溶ける

一方、ガス工場由来の汚染物質のうち、シアン化合物と重金属は水に溶けるという性質があります。目視で判断することは難しいので、これらの汚染水である可能性はなくはないです。実際、不十分な検査ではありますが公明党の調査ではシアンが検出されたとされています。

 

ただ正規の手順に沿った調査方法ではないため、この計測結果をもってただちに危険だとはとても言い切れません。

理由としてはまず

1)たまたまシアンの濃度が濃い部分の水を汲んでしまったという可能性があります。2)また正規の手順なら水たまりの複数の個所から十分な量の水を汲み取って平均を出さなければなりませんが、それも行われていません。

3)さらに出てきた数値自体も極端に高いというほどでもありません。浄化処理に失敗していたとしたらもっと極端に高い数値が出ないとおかしいのです。

 

以上の理由から、今のところは地下ピットの水は「汚染除去に失敗した水」とはとても言えないのです。追加の調査結果を待ちましょう。

汚染物質が除去されている以上、汚染水は発生しない

ベンゼン類、油類、シアン化合物、重金属類は、それぞれ土壌汚染の時も浄化が可能でした。

同様に水と一緒の状態でも処理することが可能です。実際にその処理は行われています。

 

土壌からもすでに汚染物質が取り除かれていますし、汚染水も処理がされているならば、理論上、豊洲の土壌には汚染の原因となる物質が存在しないことになります。

 

そもそも本来であれば地下ピットに水たまりが出てきたからと言っていちいち大騒ぎする必要はないのです。水は低いところに流れるものなので地下ピットに水がたまるのは当たり前の現象です。特に9月は大雨が降りました。

 手抜き工事の可能性はあるか?

もし手抜き工事などで地下汚染水の浄化処理ができていなかったとしたら、それは確かに大問題です。

ただし、豊洲市場の浄化処理工事はかなりの量の情報公開が行われており、情報を一部分だけ改ざんしても他との整合性が採れなくなってしまいます。現場には複数の人間が出入りしていますし、処理後の水質検査もしっかり行われています。

このような状態で手抜きをするとなると、都庁と工事業者全体が示し合わせて嘘をつきとおさなければなりません。現実的には不可能な話です。

 

さらに言えば工事業者が手抜きをしてどんな利益につながるのでしょうか。その時は何かしらの経費削減はできるかもしれませんが、手抜きが発覚すれば次の仕事がもらえなくなるだけでまるで意味がありません。

以上の理由で、手抜き工事による浄化処理の失敗というのもまず考えられないことです。

 地下汚染水の処理は成功している

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現在のところ、不十分な水質調査の結果ではありますが、出てくるデータは汚染処理が成功を示すものばかりです。

「基準値の4割のヒ素」「猛毒のシアン」などと仰々しく報道されていますが、前回も説明した通りこれらの物質はすべてごく自然に存在する物質です。

豊洲の場合はガス工場の廃棄物があったため基準を超えた濃度の汚染物質が出ましたが、処理によって基準値以下にまで濃度が低下しています。

 

何度も言いますが、今まで出てきたデータはどれも汚染水処理の成功を裏付けているデータばかりです。したがって豊洲に汚染水問題は実は発生すらしていないのです。この点にぜひ気を付けてください。

 

次回は具体的にどのような処理が行われたのかの解説です。

汚染水処理プラントの仕組みと汚染水、処理水、水道水の三つの水がどのように扱われているかのお話になります。