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「子ども食堂」はやるべきではない。~慈善事業でも経営です~

いきなりですがすいません。

今回の記事タイトルは意図的に意地悪な感じにしました。

子ども食堂をやりたいという人の善意は素晴らしいと思います。

現在、そのために活動なさっている方はご不快になった方もおられるかもしれませんが、よろしければ記事をお読みいただけますと筆者の意図もくみ取っていただけると思います。

どうぞよろしくお願いします。

はじめに

Twitterのタイムラインで何度も流れてきた「子ども食堂を失敗させる方法」という記事がありました。

medium.com

こちらの記事は徳島に住む森哲平さんという方が、徳島市東新町の商店街で約4か月ほど「子ども食堂」を開き、このままでは継続が難しいと閉鎖することを決定した経緯が書かれています。

今回はこの森さんの貴重な失敗談を図解し、併せて私の考察も語っていきたいと思います。いつもよりも考察が多めなのは、私も似たような”失敗”をしたことがあるからです。要約だけ先に書いてしまうと、「食堂」というイメージに固執すると素人ではまず失敗に終わってしまうからやり方を工夫しようね、というお話です。

そもそも「子ども食堂」とは

子ども食堂の解説は、以下の朝日新聞の特集の定義が分かりやすいです。

www.asahi.com

子ども食堂とは
 地域の大人が子どもに無料や安価で食事を提供する、民間発の取り組み。貧困家庭や孤食の子どもに食事を提供し、安心して過ごせる場所として始まった。そうした活動は古くからあるが、「子ども食堂」という名前が使われ始めたのは2012年。最近は、地域のすべての子どもや親、地域の大人など、対象を限定しない食堂が増えている。食堂という形を取らず、子どもが放課後に自宅以外で過ごす居場所の中で食事を出しているところもある。(2016年7月2日付朝刊から)

かいつまんで言えば、ご飯が食べられなかったり、一人で夕食を食べなくてはいけないような子供に食事を提供する食堂型の慈善事業、といったところでしょうか。

ちなみに食堂といっても常設店舗ではなく、月に2回開催というような定期イベントとして開催しているのが通常のようです。

なぜ東新町の「子ども食堂」は失敗したのか。

さて、この「子ども食堂」を徳島で開いていたのが前述の記事にある森さんです。徳島では初の試みでもあった森さんの「子ども食堂」は、商店街の中に店を構えることもでき、食材の寄付なども集まるという理想的な展開だったそうです。

ところが、この活動を森さんは約4か月という短い期間で無理だと判断しました。

それは一体なぜなのでしょうか。

経営資源のコントロールに失敗していた

詳しくはぜひ森さんの記事を読んでいただきたいのですが、もう一つ、有用な記事をご紹介します。

note.mu

こちらの岡田ぱみゅぱみゅX女子組さん(すごい名前だ!)の考察記事で、非常に納得することが多いというか、正直まったく同意見です。文章も同じ物書きとしてみても悔しいくらいにお上手なので、ぜひご一読を。

経営の3要素「ヒト・モノ・カネ」

先ほどの岡田さんは記事中で「ヒト・モノ・カネ・場所」のマネジメントがうまくいっていなかったと考察しています。実は私、経営を学ぶ大学に通っていた者でして、経営についてはある程度理解があるのです。

一般的に「経営の3要素」とよくコンサルタントなどが言うのは「ヒト・モノ・カネ」です。近年ではこれに情報を加えて「経営の4要素」などと言います。

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今回、森さんの「子ども食堂」の場合は「経営の4要素」のうち、お金の心配はとりあえず問題はありませんでした。食材は寄付で賄うことができましたし、店舗もオーナーのご厚意によりそれほど費用を掛からずに使用できていました。

 

記事の中で森さんが仰っているように失敗の直接の理由は「快適な場所とおいしい食事を安定して提供できなかったこと」でした。

なぜ「快適な場所とおいしい食事を安定して提供できなかった」かを「経営の4要素」のうち、カネを除いた「3要素」の視点で見て、失敗の理由を拾い上げてみましょう。

その1「ヒトの要素」

・専任マネージャーの不在

まず森さんは「専任の店舗マネージャーがいれば何とかなったかも」と語っています。これは広報作業から食材の管理まで、プロジェクトリーダーである森さんが一手に引き受けてしまったため、手一杯になってしまったという事情があります。

「子ども食堂」は森さんの本業ではないため、使える時間には限りがあります。また、詳細に調べたわけではないのですが、森さん自身、こういった飲食店の経営のお仕事はなさったことがないように見受けられます。

リーダー自身が不慣れな作業を、さらに別の仕事の片手間にやっていては全体に目が行き届かなくなってしまうのも当然です。続かないと思ったのはとても良い判断だったと思います。

・ボランティアが不安定

この「子ども食堂」の調理スタッフは有志によるボランティアだったようです。

ですが、このボランティアの方たちは森さん曰く「育児真っ盛りの母親世代」だったようで、家族をほったらかして食堂運営をするわけにもいきません。

食堂は午後6時からオープンだったそうです。これは通常の家庭の夕食時に当たりますので、ボランティアさんに無理強いをするわけにもいきません。

 

まず経営する側にしろ、運営する人間にしろ「人的資源が不足していた」ということは否めないと思います。

その2「モノの要素」

森さんが借りた場所は商店街の真ん中にある、バーのような施設だったようです。

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ご覧の写真がそれです。この施設は「子ども食堂」をやるには不向きな問題点がありました。

・調理設備の不足

元がバーなので調理器具が「カセットコンロ1台と電気コンロ1台のみ」という状態でした。これでは大人数を相手にした調理をすることができません。食材自体も直前にならないと何が寄付されるか分からない状態とのことなので、事前に別の場所で仕込むこともできなかったと思われます。

これでは、大人数に食事を提供するのは相当困難であったはずです。

・くつろげない店舗

くつろげないと言っても別に雰囲気が悪かったとかそういうわけではなく、大人向きの椅子やテーブルしかない状態なので、こどもが食事をすることが難しったようです。

加えて、商店街は夜19時になると消灯してしまうらしく、周囲の環境も子供にとっては居心地が悪いものだった可能性があります。

 

以店舗そのものが「子ども食堂」を経営するには不十分な状態だったと言えそうです。

 

※余談

さらに言えば、商店街の真ん中という立地も、実は子ども向けの食堂という立地としてはあまり適したものではないはずです。東京のような都市部は例外ですが、そもそも飲食業は周辺部は大人向け、郊外はファミリー向けという商業区域の住み分けがかなりはっきりとしています。徳島のような地方ではなおさらではないでしょうか。 

その3「情報の要素」

森さんは広報の仕方にも問題があったと言います。

新規で来られるお客さんや、広い層にも認知してもらうためには、やっぱり地道にチラシやポスターでアピールするのが一番だと実感しました。お母さん世代って、割とパソコン持ってない人や、スマホは持ってるけど、インターネットは使わない、情報源は新聞、チラシという方も結構多いのです。

これはやってみなければ分からない話で、経営してみたらこのような情報が得られたわけです。

問題なのはこの「生の情報」が得られても、それを経営に生かすことができなかったという部分にあります。一つはリーダーである森さん自身が忙しいこと。そして森さんを含めてメンバーのおそらく誰もが「チラシを作って配る」という作業を手早く効率的にやるスキルを持っていなかったということでしょう。

貴重な情報を得てもそれを生かせなかった事例が森さんの記事の中にもう一つあります。

「自分は抵抗はないけれど、主人は『子ども食堂って貧しい人が行くところなんちゃうんか』と抵抗を感じていた」

これは「子ども食堂」にいらしたお客さんの声です。このお母さんは、旦那さんにこのように言われたようです。

このことからも分かる通り、「子ども食堂」という場所に対して十分な理解をえられておらず偏見を持たれていたということです。

この「偏見」に対する方法にもブログを頻繁に更新するとか、別のイベントと併用してイメージを払しょくさせるとか色々なやり方があるとは思いますが、やはり「情報」を生かしてすぐに何か行動(広報)する余力が無かったのかなと思います。店舗運営をやってみると分かるのですが、一度事業を始めてしまうとそれに手一杯になってしまうのです。

 

以上のようなもろもろの事象の結果として「快適な場所とおいしい食事を安定して提供できなかった」のが「子ども食堂」を閉鎖する理由となったのでした。

 

「ヒト・モノ・カネ・情報」という経営の4要素、すなわち経営資源をコントロールできなかったというのが「子ども食堂」を閉鎖した理由だと私は感じました。

これは「趣味の延長線上の飲食店」が失敗する理由と同じ

この記事を読んだとき、私は大学で口を酸っぱくして言われていた言葉を思い出しました。

 

NPOと言っても経営と言う意味では営利事業と変わらない」

 

NPOを慈善事業と言い換えると森さんの事例と同じです。森さん自身も「子ども食堂とはいえ、根本では飲食店とまったく変わりがない」と仰っていますが、まさしくその通りなのです。

・ほとんどのラーメン屋は1年で潰れる

よくある話として、素人がラーメン屋を初めて1年と持たずに閉店してしまうという事例があります。

素人でもラーメンの味をプロレベルで作ることは意外と可能なのだそうです。それでは趣味レベルで美味しいラーメンを作れる素人がいきなりラーメン屋を初めてうまくいくかというとそうではない。

なぜなら毎日一定の水準でラーメンを作り続けたり、人材を管理したり、その他経営をするうえで必要なことをやり続けることは、素人が想像する以上に難しいからです。

これはラーメン屋でなくても、喫茶店でも、趣味のプラモデルの店でも全て一緒です。

 

今回、私が「子ども食堂」をやるべきではない、などと過激なタイトルにつけたのも同様で、たとえ月に2度開催する食事会のような「子ども食堂」でも、経営に関するスキルがないと安定して続けることは難しいのです。

むしろ、ある意味においてはより難易度が高いかもしれません。毎日店舗を開くならば専用の調理設備なども取りそろえることができますが、定期開催になるとその都度、調理スペースや飲食スペースを用意しなくていけなくなるからです。

 

「ヒト・モノ・カネ・情報」の管理の難しさは森さんの事例でよくご理解いただけたと思います。

「子ども食堂」を成功させるために必要なこと

ここからは私の考察になります。「子ども食堂」なんて触ったこともない人間の考察ですから、「実態と違うよ」という部分はあると思うので、そこはあらかじめご了承ください。

・マネジメントとは組み合わせである

これまた大学で口を酸っぱくして言われたことですが

 

「ヒト・モノ・カネ・情報」は全てを自前でそろえる必要はない

 

のです。

 

組織には、必ず強みと弱みがあります。そのうち強みを生かし、弱みは外部から補ってもらうことが経営では大事なのです。

そこで「子ども食堂」を始めるとき「経営の4要素」を組織内部で賄うか、外部に委託してしまうかを軸に考えてみたいと思います。

その前に確認しておきたいこと

森さんが記事で最も大切なことは「子ども食堂」とは何かという部分が明確になったということです。

「快適な場所」と「おいしい食事」

これらがそろってはじめて「子ども食堂」なのです。

同時に森さんも別の場所でおっしゃっていますが、どちらかが無理なら片方だけをやるという手段もあるのです。

そのような意味では「子ども食堂」にこだわる必要はないということを強く強く意識してください。

「子ども」+「食堂」というキーワードは強力です。

子どもが食事している情景がぱっと脳裏に浮かびます。とても幸せそうな光景です。しかしこれが失敗の元なのです。

もしあなたが「こども食堂」を始めようとしている人で、成功させるための段取りをすぐにイメージできないとしたらそれは現段階では実現不可能な夢でしかありません。

 

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1「ヒトの要素」

・組織の内部で行う場合

まず「子ども食堂」を定期的に開催しようと思ったならば、飲食店を経営する経験を積むべきでしょう。食材の管理、調理スキル、人材管理など、実際にやることは多岐にわたります。例えば2週間に1度の開催だとしても、時間は驚くほどあっという間に過ぎていきます。

・組織の外部で行う場合

そんなのすぐには難しいよ、という場合には「飲食店を経営した経営のある人材」を仲間に引き入れましょう。作業自体をお願いできなくても、アドバイスをもらえるだけでだいぶやるべきことがクリアになってくるはずです。

とはいえ飲食業を現在進行形で行っている人間はとても忙しいです。ここの人材が確保できない&自身も飲食店を経営した経験が無い場合は、定期開催は一度あきらめた方が良いです。おそらくここが「子ども食堂」を経営するうえでネックになってくると思われます。それくらい大変なのです。

2「モノの要素」

・組織の内部で行う場合

調理する施設を確保するのは容易なことではありません。通常の飲食店を利用することはほとんど不可能なので、理想は飲食店の厨房施設ですが、せめて公民館くらいには調理施設の整った場所を借りる必要があります。

他にも宗教関連の施設は大規模な飲食などを提供するための空間を持っていることがあり、たとえば「ねりまこども食堂」のHPを見ると真宗会館で開催とあります。宗教施設と「子ども食堂」はいろいろと相性が良いので、コネがあるならば色々と伝手を使ってみるべきです。

・組織の外部で行う場合

ただし自分たちで調理することが最善の解決策とは言えません。

一つには食品衛生の問題。金銭を取ると形式としては飲食店になるので、食品衛生管理者の資格が必要になります。そして保健所からの指導が入るはずです。家庭で調理したものを持ち込むことはできなくなります。

それゆえ、いっそのこと食材は外部で調達してしまうという手段もあります。費用は高くついてしまいますが、参加人数を絞ればそっちの方が楽という場合も多いはずです。何より調理施設を借りなくて良いので、自由に場所を移動できるようになります。

3「カネの要素」

・組織の内部で行う場合

食材を賄う費用、あるいは誰かを雇う費用、「子ども食堂」を開催する場所を開く費用などを計算し、何人参加者が来れば回収できるかをしっかりと計算できるスキルが必要です。また基本レベルで良いので簿記の知識が必要になるかと思います。

おもしろいもので、なぜか慣れない人間だけで事業をやると、見積もりの倍くらいの費用がかかってしまいます。

これは予想外の出費が多いからなのですが、慈善事業だからと言って採算ラインをギリギリに設定してしまうと計画がすぐに破たんしてしまいます。

黒字が出たら次に回せばいいだけなので採算ラインは甘く設定することをお勧めします。

・組織の外部で行う場合

あるいは最初から「子ども食堂」の経営では赤字を見込んで外部から資金調達をするという手段も考えられます。

岡田さんが森さんに聞いたところによると、子ども食堂1回あたりに6000円くらいの出費があったようで、これを月に4回やっても費用は24000円。その他の経費が掛かったとして、甘めの見積もりになりますが1月3万円の寄付が募れれば赤字運営をしても問題ないという計算になります。

もっと実務的に考えると、食材費に1万円、それと食材の寄付があれば30食作っても相当余裕が出ると思われます。これくらいの寄付ならば集められる人なら簡単に集まると思われます。

4「情報の要素」

・組織の内部で行う場合

まず「情報」と言っても本来は経験の蓄積のことであり、パソコンをはじめとした情報機器の操作能力ではありません。しかし、これらの「経験」を生かすうえでパソコンの操作能力はほぼ必須になってくると思われます。

そこでここではPCの操作に限った話をします。

まずは森さんが指摘した広報に関する能力。SNSを使っての呼び込みや活動報告はもちろんのこと、チラシを作成したりするのにもPCがないとやっていけません。もう一つ、他の「子ども食堂」の経験者との情報交換にもPCはほぼ必須のスキルとなります。

ところが、ボランティアの主力であろう「母親世代」の方たちはPCスキルがほとんどありません。私自身も経験があるのですが、この方たちの「パソコンができます」は、せいぜいパソコンでインターネット検索ができるくらいで、ブログを作ったり、ましてやチラシを作成することを頼むには能力的に物足りない場合がしょっちゅうです。

ご自身がその種のスキルを持っているのではない限り、メンバーの誰かに頼もうとするとほぼ失敗します。

・組織の外部で行う場合

それゆえ、広報活動はいっそのこと外部に委託してしまうという手段もあります。

チラシを撒く代わりにタウン情報誌に掲載してもらったり、行政の発行する広報誌に載せてもらうという手段があります。

SNSだけはできれば自分たちの手で行うべきです。Twitterとlineがあればひとまず大丈夫です。Facebookは余裕があれば。

 

そしてこちらが本来の「情報」の活用ですが、コンサルタントに協力してもらうのも有効な手段です。経営コンサルのほかにも地域活性化を請け負うコンサルタントもおります。(ただし、これらはきちんとしたコンサルタントに限る)

コンサルタントに心当たりが無ければ、起業に強い士業(行政書士、税理士)などに相談してみるのも手ですし、いっそのこと会社を経営している知人がいれば、業種に関係なく、その人に相談してみるというのが一番手っ取り早いです。

もちろん、近くに似たような活動を行っていればその人を手伝いながらやり方を覚えるのがベストです。

 

素人だけで「子ども食堂」の定期開催をいきなり始めるのは無謀極まりません。

最悪、「ヒト・モノ・カネ」は素人でも調達が可能ですが「情報」だけはプロが経験という形で保持しているため、おいそれと調達することができない資産なのです。

自分たちは何ができるのか、できないのか

「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営の4要素は、経営に携わるならば必ず知っておかなければならない基本中の基本です。自分たちは何ができて、何ができないかをよく考えるべきです。考えて考えて考え抜いて、それでも失敗するのが経営です。まずはダメージを最小限に抑える工夫は絶対に必要です。

自分たちができない部分は、お金をかけなくても補う方法が必ずありますし、無ければ無いなりにやりようはいくらでもあるのです。それが次に紹介する森さんの新しい取り組みです。

・食堂にこだわる必要はない

森さんは「子ども食堂」の失敗を生かし「ナガヤプロジェクト」という場所(?)でおかずを持ち寄ってみんなで食べるイベントを開催しました。

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これはすばらしい柔軟な発想だと思います。「快適な場所」と「おいしい食事」さえあれば、食堂形式にこだわる必要はないと思考を瞬時に切り替えることは並大抵の判断力ではありません。私はこの点に称賛を惜しみません。

 

このイベントはたこ焼き屋さんも来てくれたみたいで、参加した子どもは楽しかったのではないでしょうか。この場合、「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、自身で管理する資源は「最低限のヒト」と「SNSで発信する情報」の2つだけなので、これなら個人でも無理なくできます。

たとえば子供に楽しい食事の場を提供したいというならば河原でバーベキューをしても良いわけですし、子どもに栄養価の高い食事を提供したいというならば塾のような場所に弁当を届けても良いわけです。

素人が「子ども食堂」をやるのは、できればやめよう

いきなり食堂を経営するというのは、定期的に行うとなると大変なことです。それがたとえ店舗を持たず月に2回の開催であったとしてもです。

もちろん、きちんとした経験のある人が算段があってやるならば話は別です。

例えば私の祖母は大人数の農家所帯で育ったという経験があるので、一度に大人数を相手に料理をそろえることが得意でした。また野菜を調理するレシピも豊富でした。あとはそろばんを弾く能力と広報スキルがあればとりあえず形にはできそうです。これは私がそれなりにできますので、例えば祖母が「子ども食堂」をやりたいと言えば、私がサポートすることで何とか形にすることはできそうです。

 

しかしその娘である私の母にはその能力はありません。ごく一般的な母親としての調理能力はありますが大規模な食事会を手配することはできません。これでは私がサポートしてもうまくいかないでしょう。

成功例だけを見てできる気持ちになってはいけない

おそらくですが、素人ながらに子ども食堂を成功させている人の背景には、私の祖母のような特殊な素地が存在し、かつ周囲の理解と手助けがあってようやく可能なのだと思われます。

ですから、ちょっとでも無理だな、難しそうだなと思ったならば「子ども食堂」をすぐに始めるのはやめるべきなのかもしれません。

 

子供たちに食事の場を与えたいという気持ちは抑える必要はないはずです。できることから始めていけば良いのです。

たとえば森さんのようなイベントをやる人間が4人いれば、週に1回は何らかの形で子どもに「快適な場所」と「おいしい食事」を提供することができます。それが定期的になれば、やがて「子ども食堂」へとつながっていくはずです。

 

急に話は変わりますが、アンパンマンの作者やなせたかし氏が「究極の正義とはひもじいものに食べ物を与えることである」という言葉を残していることは有名だと思います。

誰かに食事を分け与えることは、社会の原点でありとても尊い行為だと思います。

であればこそ、そのような善意を持った人々に失敗をしてもらいたくないと思ったのが、今回、私がにわか知識で偉そうなことを書いた理由になります。

 

最後になりますが、子ども食堂の名付け親である「気まぐれ八百屋だんだん」の近藤博子さんの記事を紹介します。有名な記事なので子ども食堂に興味のある方ならご存知かとは思いますが。

bylines.news.yahoo.co.jp

この近藤さんも最初から「子ども食堂」を始めようとしたのではなく、日常の中で何かできないかという取り組みの一つとして食堂が出来上がっていったようです。

経営資源チェックシート

「子ども食堂」的な何かをやりたいと思っている方はまずはご自分の強みと弱みを確認してみると良いと思います。

自分でできることは何か、外部に頼るべき点は何かを考えていくだけで、ずいぶん事業計画がすっきりすると思います。

 事業計画などというと、耳慣れない言葉が並んで経営の初心者には難しいかと思いましたので簡易的なチェックシートとして以下の図をご利用ください。

自分で何か出来そうだなと思ったら、ボランティアや起業に詳しい人物に一度相談してみることをお勧めします。

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今回も長文になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

良い知見を得られました。ありがとうございます。