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時事図解

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山田太郎氏のネット選挙はなぜ成功したのか~候補者と支持者との「政策の循環」~

前回の長文、読了いただきありがとうございます。今回はその続きになります。

山田太郎氏のネット選挙は誰にでも真似出来るものではない。

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そもそも山田太郎氏はどんな人物か

山田太郎氏はもともと実業家でした。

職歴を見てみると、ちょっと一言では言い表せないくらい色々な会社を渡り歩いているかなりのエリートです。とても「オタクに媚びた政治家」とは思えないキャリアですね。

政策の印象だけで判断してはいけません。(自戒)

山田太郎 (参議院議員) - Wikipedia

前回の記事では山田太郎氏のことを無名の中年候補と紹介していましたが、実は山田氏は一度国会議員を経験しております。なぜ国会議員を経験した人物が無名と紹介されたかというと、みんなの党から比例代表で出馬したものの落選、その後上位当選者が衆議院選挙に立候補したため繰り上げ当選したという経歴があるためです。

たしかに、これでは知名度はあまりないという紹介は間違っていませんね。

そしてこの山田太郎氏が2016年の参議院選挙においては「表現の自由を守る党」を結党し出馬しています。(ちょっと前後の事情は省略しています)

表現の自由を守る党とは

その名の通り「表現の自由」を守ることを政策として掲げる政党です。批判を受けやすいマンガ・アニメ・ゲームと言ったいわゆるオタクが好むメディアへの表現規制に一貫して反対の立場をとっています。

Wikipediaによれば、山田氏は「シングルイシュー(一つの政策)で表現の自由を守っていくパーティというかグループは必要だろう」と結党した理由を述べており、今でも(現在は「表現の自由を守る会」と改名)ほぼシングルイシューでの活動を続けており、賛否の激しく分かれそうな政策は取り扱っていません。(例えば憲法改正など)

2016年の参議院選挙に出馬

話が前後しますが、山田太郎氏は2016年の参議院選挙に比例区で出馬しました。

なぜ彼が比例区を選択したかといえば、やはり彼の選挙戦略があると思われます。

特に解説が無いためここは推測になりますが、特定の地盤を持っていないため、一つの地区に縛られるよりもネットを利用して全国から広く浅く票を集める方が有効だと判断したのではないでしょうか。

結果29万票を獲得したのですから、この戦略が正しかったことが証明されています。

山田太郎氏の政治活動について

卓越したTwitter戦術で選挙戦を戦い抜いた山田太郎陣営ですが、その背後にはリアルでの地道な活動がありました。このリアルでの活動があってこそのネット戦術だったのではないかというのが今回の記事の考察になります。

コミケ会場で演説をし続けた

山田太郎氏は三年間、コミケ会場でオタクに向かって演説をし続けました。

最初は批判も多かったそうですが、次第に応援してくれる人も増えていったそうです。

とはいえ、あの会場で演説をやり続けるのはとても大変だったのではなかろうかと思われます。

毎週水曜日に1時間番組を3年間やり続けた

さらにすごいのがこれで、山田太郎氏はネットを通じて1時間番組を3年間やり続けました。ネットでの生放送なので、ユーザーからの反応がリアルタイムで表示されます。このネットの醍醐味である双方向性のやり取りによって山田氏は鍛えられ、また支持を獲得していったのです。

そしてネット対策

このようなリアルでの活動実績と同時並行して行われたのがネット対策です。

おときた都議が「おときた駿応援団」にて参考にしたTwitterを利用したネット戦略でもあります。

 

この戦略は、「候補者に関する情報の「総量」を増やすこと」を目的としています。そのために支持者にネットの選挙活動に少しずつ慣れていってもらい、ゆくゆくは自分のポジティブな情報を拡散してもらいネガティブな情報を訂正してもらう「精鋭部隊」になってもらうことを最終目標とします。

 

私なりに解説を入れながらその戦略を具体的に見ていきたいと思います。

初級編

まずは支持者に候補者本人のつぶやきをリツイートしてもらいます。

これは普通のネットでの選挙対策と言えます。

中級編

前回の記事にある通り、1つのアカウントに対して同じリツイートは1回しか表示されません。そのため、支持者自信の言葉で候補者についてリツイートしてもらいます。

ここで上手だなと思ったのは、以下の戦術です。

とはいえ、ゼロから自分の言葉でつぶやける人ばかりではありませんから、画像をクリックすると例文とともに、画像を添付してそのままつぶやける仕組みを用意しました。15種類ありますから、すべてつぶやいてくれれば相当な量の情報がTwitter上に流れることになります。

HPに「クリックすると自動的に画像付きのつぶやきができる仕組み」を作り、それを使って支持者につぶやいてもらうのです。

この仕組みはとてもうまいやり方だと思います。

上級編

ここで問題の「精鋭部隊」の話になります。

候補者を強く応援する支持者集団「精鋭部隊」には、候補者のエゴサーチをしてもらいます。エゴサーチとは自分で自分の名前を検索することですが、この場合は候補者の名前をTwitterで検索することが該当する行為となります。

 

このエゴサーチの結果は山田太郎陣営も当然行っており、山田太郎氏は常に自分に対するネットでの評価を確認しています。選挙中は特に、その評価を踏まえて演説をしたり生放送の番組を行ったりしていました。

ポイントは循環

山田陣営の真の戦略ははネットとリアルで情報をぐるぐると循環させることにあるのではないでしょうか。

その中で、支持者との信頼関係を築き上げ、さらに山田太郎氏本人の政治家としてのスキルアップにもつなげていく、それがこの戦略の神髄にあると思われます。

 

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山田太郎陣営のTwitter対策はとても洗練されたものです。しかしその裏には山田太郎氏本人の地道な活動が土台にあったことを忘れてはいけません。単に洗練されたTwitterマーケティングによって大量得票を稼いだわけではないのです。

 

山田太郎陣営のブレーンであった坂井氏はネットは究極的には「聞く」ためのツールであると言っています。

事実、選挙中に山田太郎氏の政策は候補者と支持者の間を循環し続けたのです。

それに対応できる仕組みがすでにあったことが山田太郎氏の強みだったのではないでしょうか。

山田太郎氏が29万票も獲得できた理由、それは有権者との双方向性コミュニケーションの重要性を理解していたからなのです。

次回に続きます。