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時事図解

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お母さんのための社会問題講座~豊洲の汚染水について(2)~

前回は、豊洲の汚染水がどのような性質のものかについての解説をいたしました。

zukaiseiri.hatenablog.com

 

今回は、この汚染水が実際にどう処理されてたか、そして豊洲全体の地下水の流れについてのお話になります。

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まずは汚染水処理プラントの仕組みについて

豊洲の汚染水処理は、まず地下から汚染水を汲み上げて地上で処理する方法がとられています。まずは図の上の四角い枠にご注目ください。

汚染水処理プラントで何が行われているかについてまずはご説明します。

汚染水処理プラント

地下からポンプなどで汲み上げられた地下汚染水は「地下水時浄化プラント」で浄化処理が行われます。写真は東京中央卸売市場より転載。

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ここで大きく分けて3段階の処理で汚染物質を除去していきます。

1、油の除去

まずは地下水が重油等によって汚染されている場合はこれらの油を取り除く作業からはじめます。

水と油が分離する性質は誰しもがよく知っていると思います。まずは汲み上げた汚染水の水面に浮かんだ油を水と分離し処理します。

2、ベンゼン類の除去

次の工程は汚染水にベンゼンが混じっている場合の処理です。

ベンゼンには水に溶けない、揮発しやすいという性質があります。そこで空気を注入し、ベンゼンを気化させます。注射などでアルコールを塗った後、息を吹きかけるとすぐにアルコールが乾きますよね。原理としてはあれと変わりません。

気化してガスとなったベンゼンは、土壌汚染と同じように活性炭フィルターで吸着して回収します。

3、シアン化合物、重金属類の分離

どうしても科学用語が出てきてしまうので、ここがある意味今回の山場です。知識のある方にとってはかなり大雑把な解説だと思われますが、今回の記事の趣旨は分かりやすさを優先しているためご容赦ください。

 

先に結論だけ述べると、汚染物質を処理剤を使って土の粒子と一緒に沈殿させてしまう、というやり方で処理しています。以下、説明を飛ばしてもかまいません。

 

シアン化合物、重金属は水に溶ける性質があります。これらの物質は水中でマイナスの電荷を帯びて浮遊しています。

図では大雑把に「イオン状態で浮遊」と表現してあります。イオンと言う言葉が分からなかったら「原子レベルまで細かくなったマイナス状態のシアンor重金属類」というイメージで大丈夫です。

 

そしてこれらの「シアンor重金属」はマイナスの性質を持っているため、プラスの性質のものとくっつこうとします。そこでプラスの性質をもった水処理剤を投入すると、処理剤と「シアンor重金属」とが引き合って大きな塊になります。

このとき、水中にある土の粒子も巻き込んで塊になるため、反応してできた物質は泥になって水底にたまっていきます。

 

これを凝縮沈殿法といい、豊洲では主にこの方法で水が処理されています。

ちなみに底に溜まった泥はセメントなどの材料に再利用されているようです。

 

※さらに分かっている人向け

技術者会議の資料では、シアンに対しては反応槽で紺青法などを用いてからの凝縮沈殿法を使用しておりますが、詳細な説明は主旨ではない判断し解説を省略いたしました。

 

今回の一番のポイント。処理した水は下水に捨ててる

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さて、以上のような流れで汚染水は処理されていたわけですが、今回私が一番驚いたのは、その水の処理です。

図の下側をご覧ください。

豊洲の地下にある水は水道水

この処理を見た時、私はなんとなく浄化した水を地下に戻しているんだなと思っていました。しかし、図にあるように処理した水は下水に流して捨ててしまっているのです。もちろん、汚染物質が取り除かれていることを確認してからです。

 

しかし汚染水を地上に汲み上げる(揚水といいます)と、地下の水はどんどんなくなっていきます。地盤沈下の原因です。ですから代わりの水を注入するのですが、豊洲で注入されている(復水)のはなんと水道水なのです。

汲み上げた汚染地下水は水処理プラントで処理して下水道に放流し、汲み上げた分に相当する水道水を地下に戻します。

東京中央卸売場 豊洲市場土壌汚染対策工事の進捗より

つまりあの広大な豊洲市場の地下にたまった水の何割かは水道水なのです。他にも汚染されていなかった地下水や雨水はあるでしょうが、とんでもない量の水道水が注入されているわけです。いったい水道料金はいくらかかったんでしょう?

 

日本の水道水の安全性は誰もが知るところだと思います。これははっきり言って最強の汚染水対策でしょう。

 

ちなみに豊洲の各施設は遮水壁でぐるっと囲っております。各施設は土壌を無視すればちょうどバスタブが水を貯めているような状態です。ここから汚染水を取り除き、水道水を入れているのが現在の豊洲です。

 

このような状態で地下から人体に有害なレベルの汚染水が湧き出る可能性は、限りなくゼロに等しいのです。

 

さて汚染水の性質、汚染水処理の仕方ときたのですが、ちょっと方針を変えようかと思っています。もうちょっと全体のことやってほうが良いんじゃないかなと思っています。

 

そう思った経緯は次回に譲るとして、ご質問なのですが、豊洲移転の何が分かりにくいと感じておりますか?

 

よろしければ率直にコメントいただけると幸いです。

よろしくお願いします。