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時事図解

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おときた都議は山田太郎戦術を継承できるのか~問題は受け皿となるメディアの不足~

前々回

前回

今回は3記事一気の更新となります。お付き合いいただきありがとうございます。

おときた都議は山田太郎陣営のネット戦略を活用できるのか。

ここからがやっと本題となりますが、その前にちょっとだけ寄り道。

今回はおときた都議をテーマにしていますが、この山田太郎Twitter戦略は、たとえば政治家の方や、ネットサービス、企業などツイッターを利用したあらゆるマーケティングにもつながる話だと思います。

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おときた都議と山田太郎氏の政治家属性の違い

おときた都議は「おときた駿ネット応援団」を作成しました。現在ある説明を見る限り、これは山田太郎陣営のネット戦略をそのまま流用したような形式のようです。

ですが、おときた都議と山田太郎氏には政治家として属性が異なっています。この違いはネット戦略に影響を及ぼすことはないのでしょうか。

まずはここから検討してみたいと思います。

山田太郎氏はシングルイシュー、おときた都議は?

山田太郎氏の政策は基本的には「表現の自由」を守るという一点に特化しています。他にも政策はいろいろあり、中にはスギ花粉に対する政策など有権者の声から生まれたものもいくつかあるのですが、基本的にはシングルイシューです。

対しておときた都議はどうでしょうか?

おときた都議はシングルイシューではありません。これは政治家としては当たり前のことで、むしろ山田太郎氏が特異なのです。

とはいえシングルイシューには「ある属性に対して非常に訴求力が強い」という特徴があると思われます。

山田太郎氏がシングルイシューで政党を結党した背景に、「表現の自由を守ることは支持するが政党の他の政策が嫌い」という支持者がいたことが挙げられるそうですが、ヲタク層には「表現の自由をエサに利用されているのではないか」という意識があるような気がします。(少なくとも私が目にした限りではそういう意見が多かった)

ヲタク層は一般的には浮動票と呼ばれる支持団体が定まっていない人々の集まりだと思われます。こういった政治の素人に対してはシングルイシューであることはかなり有効に働きそうなのです。

さらに文字制限の厳しいTwitterなら、なおさらシングルイシューであることは有効に働いたとも考えられます。

 おときた都議のイシューが何かは知名度ほど知られていないと思う。

ところでおときた都議のイシュー(政策)とは何でしょうか?

私の感想ですが、これあまり認知されていないと思うのです。おときた都議を詳しく調べれば色々と出てくるのですが、例えばWikipediaにはこれしかありません。

社会保障費の増加による、若年層の負担増を懸念している。
選択的夫婦別姓制度導入に肯定的。

Wikipediaのページがきちんと編集がなされていないという事情もありそうですが、やはり多くの人にきちんと伝わっていないからこのような状態なのではないかとも考えられます。

それよりも、舛添前知事への追及とか、給与の明細を全て公開しているとか、昨今のテレビ出演とか「メディアを使って派手に暴れまわっている」というイメージの方がはるかに強い。「都のシルバーパス政策に反対しているおときた都議」という風にはなかなか紹介されないのです。この一面だけ見れば扇動政治家と呼ばれるのも無理はない。

 

政策とは、ある面では特定の分野に対する利益供与です。

それは経済的な利益とは限りません。山田太郎氏の場合「表現の自由を守る」という明確な政策があり、オタクにとっては彼を応援するメリットが十分にあった。

翻っておときた都議を応援することには、支持者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。あるいはメリットがあると思わせられるのでしょうか。

たとえばおときた都議の特徴ともいえる情報公開も利益供与の一つの形ではあります。それを理由に彼を応援する人も実際に居ます。

しかし情報公開だけでは物足りないような気がするのです。情報公開とは、理想論を言えば「公開されて当たり前」のことです。情報公開というイシューでは、おときた都議と接点のない人々から広く支持を集めるには弱いのではないかと思います。

そしておときた都議はあくまでも東京都議会議員

またおときた都議は東京都の議員であり、山田太郎氏のように国会議員になるわけではありません。首相を目指すと宣言しているので、いつかは国政に打って出るつもりなのでしょうが、それはそう近い未来のことではなさそうです。

坂井氏もインタビューの中で「このやり方が全国比例以外で通用するかどうかはわかりませんけど」と断っています。山田氏の戦略は比例区だから通用したという側面は確かにあると思われます。

山田氏を国会議員にすれば「表現の自由」が守られるという直接的なメリットが支持者にあった。しかし東京都都議では、彼を積極的に応援しても、多くのネット民に特に見返りはありません。

これら政治家としての属性の違いを考慮して戦略を練らないと、山田太郎氏の戦略を流用してもうまく活用できないのではないでしょうか。

Twitter戦略とリアル戦略

おときた都議のリアルでの土台は十分だろうか?

山田太郎氏のTwitter戦略は実に洗練され、また効果があることも山田太郎氏の得票数を見れば一目瞭然です。ですので、おときた都議がネット対策としてこの戦略を踏襲するのは理解できます。

問題はこのネット活動に対応するリアルでの活動です。

山田氏の場合は三年間にわたるコミケでの演説があります。またネットの生放送を毎週行い、そこで支持者との議論を重ねてきました。

 

おときた都議がリアルでの活動をおろそかにしているということは絶対にありません。

ただ現状では、「双方向性コミュニケーションを定期的に図れる場所」というものが見当たらないような気がするのです。これではおときた都議と支持者の間の「政策の循環」が作れず、Twitter戦略も十分に効果を発揮できないのではないでしょうか。

ブログは大きな財産だが…

「政策の循環」を行う土台として、政治家側がネットでの評判を引き受けるプラットフォームは何を選ぶべきでしょうか。

おときた都議はブロガー議員として有名です。十年以上続けているというブログは彼の大きな財産であり、リアルでの大事な土台と言えると思います。

ただこのブログは一方向の情報提供の場であり、双方向性コミュニケーションを図る場所ではないと思われます。

言うなれば山田太郎氏のコミケでの演説のようなものではないでしょうか。

Twitterはどうだろう?

双方向性コミュニケーションの場所として、音喜多氏の場合Twitterでの会話もあります。しかしそこまで活発ではありませんし、実績を蓄積する場所としては適切かどうかは疑問が残ります。Twitterで過去の発言をさかのぼるのは大変です。

第一ツイッターはネット戦略の要であり、リツイートを狙う意味では狙いすましたコメントを厳選して投稿する場所です。リアルでの土台は別に用意するべきです。

ネット番組は現実的だが…

おときた都議は生放送も時々行っているのですが、定期的ではありません。これはおときた都議が精力的に活動しているからこそなのですが、定期的でなければ双方向性コミュニケーションの場としては機能しがたいと思われます。

 

おときた都議がどのようなメディアでネットでの評価をフィードバックさせるかは、今後の課題と言えそうです。

政治家を育てるという体験が共有できる時代

なぜこれほどまで私が双方向性コミュニケーションを重視するかといえば、「自分の意見で政治家が変わる」という体験を提供できるからです。

山田太郎氏も生放送で鍛えられたと坂井氏は言っています。先ほど挙げたスギ花粉に対する政策などはその一つです。

たとえば、政治家が演説で自分が問題提起したキーワードを使ってくれれば支持者は嬉しいはずです。提起した支持者は積極的に政治家を応援しますし、誤解があれば自分から訂正もしてくれるでしょう。

「精鋭部隊になってください」などと言わなくても、自ずから精鋭化していくでしょう。

「政治家は育てるもの」という言葉があります。

かつて、これは政治家に近しい一部の人間にしかできない活動でした。しかし、距離の制約のなくなったネット時代ではそれが誰にでもできるようになったのではないでしょうか。

「おときた駿応援団」は今のままでは情報の押しつけになる

 山田太郎氏のブレーンの坂井氏は「ネットでの情報の押しつけは嫌われる」と言いました。

「おときた駿応援団」で一番問題だと感じているのは、戦略に対するフォローが足りず、どうにもこの「情報の押しつけ」じみた活動に見えてしまうことです。

特に【上級編】はきちんと説明して活動しないと言論狩りのような印象すら受けます。

今は都議会で忙しくて詳細な説明をしていられないのでしょうが、これを放置しておくと不幸な誤解を招く可能性すらあります。

 そもそも、この戦略の本家である山田太郎氏は、シングルイシューであり、明確にヲタク層をターゲットに狙い、彼らの関心の高い「表現の自由」についての活動でしたから、詳細な指示を出さなくても支持者は積極的に動けたのだと思います。

しかしおときた都議は違います。

おときた都議は政治家である限り今後もいろいろなイシューを抱えていくでしょうし、それが支持者にとって最初から興味のある問題であるとは限りません。

ですから「おときた駿応援団」の活動内容については、いずれ詳細な解説が必要になってくるのではないでしょうか。

ファンによる活動が危険だと思う理由

「おときた駿応援団」の内情はまったく把握しておりませんが、おときた都議本人のファンでないと応援団に入りづらい状態ではないでしょうか。

そしてファンと言うのはありがたい反面、危険な存在でもあります。

ファンがネガティブな情報をポジティブに変換させようと思えば、究極的には「おときた都議は良い人だから信じてください」と言うしかない。そこには議論がない。これが「情報の押しつけ」でなければ何と呼ぶのでしょう。

おときた都議の政策(例えばシルバーパス、舟運、LGBTの里親支援など)を分かりやすく提示し、そこに是々非々の議論が発生しないと政策に対する支持者が生まれません。

このままでは「精鋭部隊」は単なる「言葉狩り部隊」になってしまうことを私は危惧いたします。

 

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まとめ

おときた都議がネット上で選挙戦略をするうえで、もっとも重要になってくるのは支持者との「政策の循環」ではないかと思います。

現状、おときた都議が発信する情報は不足するどころか多すぎるほどで、むしろ情報の厳選に力を割くべきかもしれません。

さらにはネットでの評価の受け皿となるメディアをいかに構築し、有権者との双方向性コミュニケーションをどう図っていくかが今後の課題となるのではないでしょうか。

私からの雑多な提案

以降はおときた都議に対する私の勝手な提案です。

基本的に無関係の第三者の意見は無責任なものです。さらに私は政治活動について何ら知見があるわけでもありません。ここまでの長文に免じて、単なるアイデアを書かせていただくことをお許しください。

まずは毎週の番組

たぶん、最初から一番厳しい提案だと思います。

おときた都議は不定期ながらニコニコ生放送で番組を行っています。おそらく多忙ゆえになかなか時間が取れないのでしょうが、やはりネットでの双方向性コミュニケーションならば生放送は外せないと思われます。

できれば生放送、そうでなくても録画でもよいので、有権者との政策コミュニケーションの場が必要ではないでしょうか。たとえば、山本一郎氏との「真夜中のニャーゴ」での対談などはとても面白かったし、ためになりました。

www.houdoukyoku.jp

ブログに分かりやすい政策のつぶやきボタン

山田太郎氏も行っていましたがやはり画像を引用リツイートする戦略は非常に有効だと思われます。(以下は画像なのでRTはできません)

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このような形で政策をリツイートできればとても良いと思われます。

実は調査不足ですでにやっていたら、ほんとごめんなさい。

「おときた駿応援団」の改名

政治家の支援者団体に「応援団」と名をつけるのは割とよくある名称だとは思います。

しかし応援団と言うとどうしてもファンの集まりのように感じられ、おときた都議と政策についてコミュニケーションできる場所という感じがしません。

リアルでの団体ならこれで良いかなとは思うのですが、ネット上の不特定多数を相手にする団体の名称としては堅い表現かなとも思います。

 

ネット上に支持者団体を作ること、それはとても良いことだと思います。

ですが、それは「応援する」だけでなく「積極的に関われる」ものであってほしい。

 

私はおときた都議の「物事を是々非々で挑む」というスタイルにはとても賛同しております。またおときた都議に関しても支持者が何かを考えているかについて理解できる場所がネット上にあることはメリットのように思われます。

 

おときた都議は活動中の政治家ですから、ある政策に対して意見を言いたくないときもあるでしょうし議論に参加するのが難しいときもあると思います。

ですが、少なくとも支援者のコメントはすべて目を通しているよ、という信頼関係があれば「本来、主義主張は異なるけども、自分の意見を聞いてもらいたい」という人でも参加しやすくなるとおもうのです。

支持者の間での議論の中で出たアイデアをおときた都議がワンフレーズだけでも取り上げてくれれば、議論に参加した人は自ずと「精鋭部隊」となるはずです。

私ならこんな名前を付ける

そこで「おときた駿応援団」という名前を改め、都議が使っているキャッチフレーズをもじり、

 

「おときた駿をアップデートする会」

 

という名称はいかがでしょうかと愚考する次第です。

 これなら今はおときた都議と政策観が違う人でも入りやすく、かつ積極的な発言を促せます。むろんTwitter戦略はきちんと伝えて協力してもらうことが入会条件となります。

言葉の力というのは案外馬鹿になりません。

おときた都議の政策がアップデートされ続けていくのはとても良いですし、都議から国会議員へのアップデートが目標ならば、今のうちから応援しておくのも悪くないかと思う人も出るのではないかと思います。 

 

 以上、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 本日もよい知見が得られました。

 

※どうでもいい余談

 ちなみに支持団体名称の次点は「おときた団」でした。