ストラテラ体験記 服用一日目のこと
前回はいきなりストラテラを処方されたお話でした。
渡されたストラテラは1日合計40ミリグラム。これを朝晩2回に分けて飲むように指示されました。
お薬をいただいたのが午後の4時ごろ。
さっそく今晩から飲んでいいと薬剤師さんに説明を受けましたので、6時に食事をとったあと、午後6時30分にはじめてストラテラを服用しました。
ネットで調べたところストラテラの効き目はゆっくりで、徐々に効果が現れるとのこと。副作用で胃のむかつき、吐き気などがあることでした。
体調の悪化に備えて、とりあえず布団で変化を待ちます。
気が付くと15分を程寝てしまったようです。
そして目が覚めると7時。
驚いたことに、早くも変化が現れました。
変化1 世の中が静かになった
ADHDの特性として、常に脳が激しく動き回っているというものがあげられます。
目覚めたとき、比喩ではなく、世界は静寂に包まれていました。
「あれ、世の中ってこんなに静かだったっけ?」
本当にそう思いました。
変化2 自分が落ち着いているのに気が付いた。
偶然ですが、先週の月曜日もこの時間にちょっと散歩に出かけていました。
そこで、同じ道を散歩し、変化を確認してみることにしました。
まず感じたことは、体の軽いこと。これは寝ざめが良かったからかもしれませんが、そもそも私が寝覚めが良いということがほとんどありません。薬の効果かどうかは分かりませんが、先ほどの静寂と合わせて、非常に快適な気分でした。
散歩に歩いてみると、周囲の風景がすこし違って見えました。
思い返してみれば、自分は常にせわしなく周囲を見回していたなと思います。あちこちを見て、そわそわして、何かに追い立てられていたような気がします。
ところが、それがないのです。
ゆったりとビデオカメラで周囲を撮影しているような感覚でした。そして、何か物事を見ても「連想ゲーム」が始まりません。
たとえば、坂本という表札を見ると、坂本龍馬を思い出し、そこから海援隊、武田鉄矢、金八先生、という風に脳内で勝手に連想ゲームが始まっていくのですが、今日に限っては「坂本という表札」は「坂本という表札」のままです。
薬を飲む前、私はいわば映画の世界の住人でした。
風景は特殊なカメラで色鮮やかに映し出され、次から次へと連想が襲ってきます。
ところが、薬を飲んだ私は、現実世界の住人です。
風景は落ち着いて、面白みはありませんが、穏やかな時間を保っています。
この劇的な変化は、いわゆるプラセボ効果なのかもしれません。
ただ、こんな穏やかな気持ちになったのは、人生の中で初めてでした。
変化3 本が読めなくなった。
私は読書がかなり好きです。食事をするように本を読む、という言葉がぴったりくるくらい本を読みます。続き物の小説など、寝食を忘れて読みふけることがよくありました。
これはADHDの過集中のなせる業ですね。
実は、散歩に出た目的の一つに、ブックオフに行くことがありました。先週も偶然、散歩の途中に立ち寄ったのです。
ブックオフで適当な漫画を開きます。
すると、ここでも変化がありました。以前なら、どんな本でも最初は興味を持って眺めることができるのです。(ただ、すぐに飽きて読むのをやめる)ところが、今日は、「つまらなくても読むことはできるが、あまり集中できない」という生まれて初めての状態でした。
漫画を物語ではなく、絵としか認識できないのです。
世の中の本を読めない人の気持ちを初めて理解することができました。
もし子供のころに投薬治療を初めていたら、さぞかし感受性の低い子供に育ったことだろうと思います。投薬治療も一長一短です。
これはどうだと手に取ったのはスラムダンク。それも物語の最高潮の山王戦のクライマックス。
さすがの名作。これは引き込まれるように読めます。
ですが、ここでも変化がありました。漫画を没頭して読んでいるのではなく、全体的に読んでいる自分がいたのです。
あれ、こんなところに三井が描かれてたんだ。
この時の流川の表情、今まで気づいてなかったな。
これが良いことか悪いことかわかりません。ただ、分かったのは、以前よりも自分が物語に没頭していないという事実でした。
変化4 食欲不振
自分は食べるのが好きな方です。ところが、帰りがけに寄ったスーパーでは食品を見ると、胃がもたれるような感覚を受けました。とにかく、食べたくないという気持ちになります。
今のところ、ほかの方が訴えるのどの渇きなどはありません。
ただ胃が痛いだけで、吐き気もそれほどではありません。副作用はあまり出ていない感じですね。
ダイエットとは違いますが、食欲不振でもそれほど困らないので、許容できる範囲の副作用ですね。
以上が、1日目の自分の変化です。
何かのご参考になれば幸いです。
あ、もう一つ変化がありました。ブログを書くときに、あまりほかのサイトに浮気することがありませんでした。
これも、集中力の向上と言えるのでしょうかw
ADHDを疑った自分が、心療内科に行き、即座にストラテラを処方された話
ごく簡単に言えば、「不注意、落ち着きがない」ことで日常生活を困難な症状のことを指します。私の場合ですと、不注意で単純な書類仕事でミスを連発したり、同じミスを繰り返したりするのが顕著な症例です。
発達障害の名前の通り、脳の発達が通常と異なっているために起きる障害であり、断じて「怠け者、無責任」だから起きるわけではないのですが、なにせ、脳の障害というのは外からは見えません。そしてADHDという病名もまだ世間に認知されているわけではなく、なかなか理解を得られません。
まして、自分自身でもADHDであるかどうかについてさんざん悩みました。
知人に心理療法士を目指している学生さんがいたのですが、その方の見立てでも「クロスケさんは違うと思いますよ。ADHDの人は、もっとダメですし。クロスケさん、しっかりしているじゃないですか」
そう言われたこともあります。
ですが、最近、自分の不注意があまりにもひどすぎたので、ついに心療内科に行くことにしたというわけです。(ちなみに、ADHDはある程度、学習によって改善できるので、失敗ばかりしている自分は、それなりに対応ができていたのでしょう)
この記事は、自分の変化を記録するための備忘録であり、同じような不安を抱えている人への参考に書いております。私自身、いろんな人のブログを読ませていただきました。
もし、自分がADHDかもしれないと思われる方、ぜひともご参考にしてください。
まずは「発達障害支援センター」というところに電話しました。
話は先週の月曜日にさかのぼります。
とにかく情報がほしかった私は、市の「発達障害支援センター」というところに電話を掛けました。
ある程度情報収集していたので、「発達障害支援センター」という場所が『発達障害だと認定された人を支援する場所』であり、発達障害かどうかまだ分からない人には何もしてくれないということは理解していました。
とはいえなにしろ公共の施設ですし、いきなり心療内科に電話するのはハードルが高いと感じていた私は手始めに「発達障害支援センター」に電話して情報収集することにしたのです。
電話に出たのは若い感じの女性の方でした。
聞かれる内容も予想通りで、どんな症状なのかを軽く聞いてくれましたがそれだけです。「ADHDを診断してくれる病院はありますか?」と聞くと、いくつかの病院を紹介してくれました。(ただし、これは発達障害支援センター毎に方針が異なるようで、どこでも紹介してくれるとは限りません)
こういう場所で紹介される病院ですから、極端な外れはないだろうと安心して、次のステップに進むことができました。
心療内科を受診するにあたって、自分の優先順位を決めた。
治療する以上、病院を選ばなくてはいけません。
なぜなら、薬を処方してもらうには医師の診察が必要だからです。
ところでADHDは脳の障害です。
どんなに頑張っても自分の「不注意」という特性が無くなる、完治するということはあり得ません。なぜなら元から「そういう(注意力のための)機能が欠けている」からです。
つまり医者にかかっても治らないし、完璧な解決策など元から存在しない。
これをきちんと理解していないと、医療に多くを期待して失敗してしまうことは明らかです。大切なのは自分の「不注意」をいかにして軽減させるか。ここにあると自分は考えました。
そこで病院選びのポイントは2通りに分かれると考えました。
1)発達障害でも上手に生きていけるようなカウンセリングもしてくれる病院を頑張って探す。
2)脳の機能を改善する薬(ストラテラ、コンサータ)を早く処方してくれる病院で妥協する。
1番の病院の方が、長い目で見ればよい病院かもしれません。
しかしADHDの啓蒙活動をなさっている「大人のADHD生活」さんは以下のようにおっしゃっていました。
成人発達障害と折り合いをつけて社会生活を送るのであれば、医療は以下の役割と割りきって利用しましょう。
●自立支援を申請し、安い金額で高額な薬を処方してもらえるところである
●医師はあくまでも「診断」と「治療」が役目である。相談するところはでない
●生活の相談や悩み相談は、カウンセラーか役所・保健所の相談係に話すほうが確実に解決へすすめる
自分の場合は、「まずは投薬治療で自分が変化するのかを試してみたい。医者に人生相談をしても仕方がない」と割り切り、とにかく受診してくれるところ、処方をしてくれそうなところ、を選ぶことにしました。
まずは自分がADHDなのかを確かめる。
次に投薬治療で改善されるかどうかを確かめる。
今後のことは、そのあとで良いと思ったのです。
1件目のクリニック
ここは比較的新しめのクリニックです。ここをまず最初に選んだのは、電車の駅から近く、通いやすいからです。
電話をすると、若い感じでハキハキした女性が出ました。
自分がADHDじゃないかと疑っており、受診したいと言ったとたん「それでは最初に検査をしてもらいます。検査には1万5千円かかり・・・」とお金の話が始まりました。
たぶん、お金のトラブルが多いのだろうなあとは思いますが、最初からお金の話をされると、さすがに心象が良くありません。
予約が1か月後とネットで聞いていたのよりも早かったのは意外でしたが、「よくわかりました。検討させてください」とだけ言って早々に電話を切りました。
2件目のクリニック
こちらはネットで調べた限りでは候補の中で一番古い診療所です。
バスで通院しなくてはならないので第一候補からは外していましたが、第3候補よりは通いやすそうなので次にこちらに電話しました。
するとこんどは落ち着いた感じの女性が応対してくれました。
「まずは一度診察にきてください。予約は水曜日の3時と来週の月曜日の3時が開いています」
と、先ほどのクリニックよりもさらに早い時期に診断してもらえることが分かりました。当たり前ですが、検査費用やらなにやらのお金の話もありません。なぜこんなに早く診察してもらえるかというと、このクリニックは一週間分の予約しか取らないのだそうです。したがって、次の週の予約なら比較的簡単に取ることができるのだとか。
予想外の展開の速さでしたが、とりあえずこのクリニックに行ってみることにしました。受診だけでしたらそこまでお金もかからないし、なによりすぐに診てもらえるのは魅力だと思ったからです。
そして受診。あっという間の診断。
そして本日、受診してまいりました。
クリニックは駅前の雑居ビルの上階にありました。そのビルのある通りは何度も通ったことがあるのに、こんなところにクリニックがあるとは全く知りませんでした。
心療内科は入るのに抵抗がある人もいるでしょうし、こういうところにひっそりとあるのかもしれませんね。
まずは簡単なテストを受けました。
まずは成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)
こちらを渡されました。ネットでも一度やったことがあるので、そんなに問題はありません。もう一つ、簡単なアンケートを書いて待ちます。
けっこう待たされると聞いていたのですが、30分ほどで呼ばれました。月曜日で空いていたのかもしれません。
医師の診断はとても機械的
さっそく問診がはじまりましたが、もはや定型文ができているのか、お医者さんはすらすらとよどみなく質問してきます。
なぜ自分がADHDだと思ったか、どんな症状があるか、家族構成、子供のころ、学生のころ、社会に出てからの生い立ち等々。カルテの空欄を上から順番に埋めていく形式なのがよくわかります。
ここは自分もあらかじめ聞かれるであろうと思っていた部分ばかりですので、多少のアドリブを交えてですが、けっこうすらすらと答えていくことができました。ADHDは、意外とこうしたプレゼンテーションが得意な人がいるらしいですが、自分はまさにそのタイプです。
このとき、実に自分がADHDっぽいなぁと感じたのは、質問されている内容よりもお医者さんの持っているペンや奥にあるペットボトルの種類、本棚の内容などに意識が次々と飛ぶのです。
自覚して一か月ですが、これほど自分がADHDだと感じたのは初めてでした。
そういうところも観察されていたのかも。
全部で20分くらい話したでしょうか。
お医者さんはカルテの最後に実に簡単に「ADHD(ADD)」と書き込んでくれました。
心療内科では診断には時間をかける、何度も通ってようやく認定されると聞いていたので、これも驚きです。
自分がよほど典型的だったのか、お医者さんが即断する方針だったのかはわかりません。しかし、薬をもらうことを目的としていた自分にとっては好都合です。
「投薬治療はやってみたいですか?」と聞かれたので、素直に「はい」と答えました。
「では、まずはストラテラから試してみましょう。ダメだったらもう一つの薬を試します」
その後、採血をし、次回は心電図も撮るとだけ言われて診察は終わりました。
合計しても1時間も経っていません。
すぐ近くの薬局でストラテラを処方してもらえました。
あっけなさすぎ。
このお医者さんの治療方針が正しいのかどうかは分かりませんが、自分にとっては最良の結果だったとは思います。
ちなみに今回かかった費用ですが、約1万2千円ほど。
噂には聞いていましたが、ほんと、高いですね。次回までに自立支援の申請の準備をしなくてはと思いました。
まとめ
ADHDを疑って、いきなりストラテラを処方されるのは、珍しいことかもしれません。
この記事を読んで、ストラテラをすぐに試したいと思う方はいらっしゃると思います。
ですが、副作用やその他、いろいろな問題のある薬ですので、どこのクリニックを使ったかとかはお教えすることはできませんので、その点はあらかじめご了承ください。
ただ、投薬治療をためしてみたかった自分には最良の結果だったことは疑いようもありません。やはり、勇気を出して診療所に行ってみるものです。
投薬治療を目的にクリニックを利用することを目的とするなら、私なりのポイントは以下の通りです。
・ADHDの診療に慣れている古めのクリニックを目指す。
・自分がADHDかもしれないと思ったポイントは恥ずかしくても的確に、正直に話す。
・投薬治療に興味があることをきちんと伝える。
ただ、私のように初回から処方されるのも正直どうかと思う部分もあります。
もし、自身のADHDを疑い、治療を検討されている方がおられても、あまり焦らず、長いスパンで治療を目指していくのが良いと思います。
次回は、ストラテラ服用1日目のお話しです。
スマホ版ロマンシング・サガ2を始めてしまいました。
「やるべきか、やらざるべきか・・・」
延々と悩んでおりました。
(最近、通勤時間長いしなあ、やるにはもってこいなんだよなあ・・・)
(でもこの手のアプリ、クリアしたためしないんだよなあ)
いい大人がリリース開始から、そんな葛藤を繰り返しておりました。
今のゲームにはまったく興味ないのに、なぜかこういうリメイクものってやりたくなっちゃうんですよね。
「ええい、悩むだけ時間の無駄だ! 大丈夫、ブログのネタになる!」
これ危ない思考ですよね。
とはいえ、買ってしまったものはしかたない。
アバロンの歴史が今始まります。
壮大なオープニング、懐かしい地形がリメイクされて綺麗になっています。
それなのにキャラクターはドット絵。
本当に、あのころのプレイヤーに向けて作っているんだなあと改めて実感します。
「いいか、ジェラール。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う」
レオンさん、お久しぶりです。毎度、お世話になっております。
オープニングがあっさりしているのは昔のゲームの良いところ。キャラがぐだぐだしゃべらないのはオールドゲーマーには好感触です。
動かせるようになってはじめにやることはシステム周りの確認。
まずはレビューで評判の悪かったキャラクターの操作について。ここが一番の懸念材料でした。
しかし実際にフリック操作でほぼ思い通りに動きます。
ただ、ロマサガではおなじみの敵除けについてですが、これは若干難しいかと。できないことはないですが、自在にとはいきづらい。
ロマサガ2は戦闘回数が重要なゲームです。戦闘回数を重ねると敵が強くなってしまいますからね。とはいえ、戦闘をしすぎないのも実は問題です。
そもそも開発側はダンジョンである程度戦闘をこなしてもらうことを前提にバランスを作っているはず。そういう意味では、敵ぶつかってしまうことは特に問題ないわけですね。
そんなわけで、適度に戦闘をこなしながらチュートリアルダンジョンである「封印の地」を進みます。
そしていきなり迷います。
(あれ? このダンジョン、こんなに狭かったっけ?)
後になって気付いたのですが、リメイクに合わせてSFCのころと比べて全体的にマップが小さくなっています。これはスマホやVITAなどの画面サイズに合わせた仕様変更なのでしょう。
ダンジョンや街が格段に歩きやすくなっています。
この改良点、地味にありがたい。
ついでキャラクターのステータスの確認。
初プレイ当時はちっとも能力値とか考えていませんでした。
腕力19、魔力20とレオンのステータスが高水準なのはわかっていましたが、驚いたのは
ジェラールの能力値。
腕力17 器用22 魔力19 素早さ20 体力11
実は軒並み高水準でした。
ちなみに今調べたところ、兄のヴィクトールはデータ上は
腕力22 器用25 魔力25 素早さ25 体力25
なんだそうです。お兄ちゃん優秀すぎない?
アカネイア大陸の航海熟練度は?
まず、ネットで割と一般的な言説として「当時のアリティア大陸は航海術未発達だった」というものがあります。
理由はゲーム内で隣にあるバレンシア大陸との交流がほぼ描かれていなかったこと挙げられます。
アリティア大陸と、バレンシア大陸が隣接しているのはほぼ間違いありません。なぜならペガサス三姉妹やカミュとジークの関係で、同時期に同一人物(と思われる)が存在しているからです。
それなのに大陸同士で交流がないのは、航海術が発達していないためだ、という説です。また原作ファイアーエムブレムの中で、海戦が一つも描かれていないのも航海術が未発達だった証拠かもしれません。
私は航海術はあった派
私としては、この「航海術未発達説」には賛成できません。
というのも、その当時のバレンシア大陸の事情が異常だからです。バレンシア大陸にはリゲル帝国とソフィア王国という二つの国が存在していましたが、暗黒戦争とほぼ同時期に、リゲル帝国がソフィア王国を侵略しています。
これでは、貿易をしている余裕は皆無です。
余談ですが、同時に二つの大陸で大きな戦争が起きたとなると、その背景にあるのはアカネイア、バレンシア両大陸が寒冷期に入っていて、飢饉が起きやすい状況になっていた可能性があります。
実際、我々の世界でも寒冷期になると戦乱が起きやすくなる(食料の奪い合いのため)のは定説ですし、食料問題が、暗黒戦争の契機だったと考えるのは一考に値するのではないでしょうか?
話がそれましたが、本筋にもどります。
つまり、バレンシア大陸は政治的混乱状況に陥っており、貿易をしている余裕はあまりなかっただけで、大陸間を行き来する航海術そのものはあったのではないでしょうか?
第二部紋章の謎編でジーク(=カミュ)が大陸間を行き来していることもその傍証になると思われます。
ただ、国交があったのはグルニアのみではなかったか。
そもそもですが、グルニアがほとんど何もない状態から100年で国力をつけた背景には、バレンシア大陸との交易があったと考えられます。
「竜族VS人族」という構図で語られている暗黒戦争ですが、その実質は国力をつけた新興国グルニアと、宗主国アカネイアの覇権闘争です。つまりアカネイアがグルニアの成長を積極的に支援するはずがなく、グルニアが国力をつけるためには、別のパートナーが必要です。
おそらくそれがリゲル帝国であり、ソフィア王国ではなかったのか。
こう考えると筋が通ります。
また、ゲーム本編でもマルス軍は割と気軽に海をわたっています。
ということは、兵団を移動させるだけの航海技術がアカネイアに存在していたのはほぼ確実です。
なぜ海戦が描かれなかったのか?
それは暗黒戦争後期の二つの陣営の主力が騎馬であることが理由だと思われます。
マルス軍は、名前こそマルスが総大将ですが、兵力的にはオレルアン騎馬軍団が主力なのはほぼ疑いありません。
また、グルニア陣営も頼みの綱のブラックナイツですから、主力は騎馬だと思われます。
二つの陣営が雌雄を決する舞台には広い平原が必要です。
つまり軍の性質が海戦を必要としていなかったから、海戦が描かれなかったのではないかというのが私の考察です。
そしてそれこそがマルスが最終的に大陸の覇者へと導いた遠因なのではないかと私は思っています。
次回は「アリティア海運国説」。
アリティア海運国説とジェイガンの地位
この考察の大元は「考えるたのしむ」のとげげ氏の説に由来します。
アリティアという国は、元は同じ国であったグラを含めて島国であるとされています。
我々の世界で言うと、イギリスのようなものなのでしょうか。
とげげ氏も言及していますが、暗黒戦争で4代目国王コーネリアスが戦死した後、マルスははるか遠い辺境の島国タリスまで落ち延びていますが、これはアリティアが海運国であり、タリスまで海へ向かうルートを持っていたから可能だった、というのがとげげ氏の説です。
自分もこの説に大いに賛成です。
マルスは604年タリスから挙兵し、翌605年には暗黒戦争を終結させています。
その間に、オレルアン、アカネイア、グラ、カダイン、アリティア、グルニア、マケドニアの7王国すべてを占領、開放しているのですから恐るべき速さです。
もちろん、アリティア軍には現地の有力者がいますから、占領後はすみやかに有力者へ主権を渡し、政治的な問題を回避していたのでしょうが、それにしても速すぎる。移動速度が尋常ではない。
そもそも軍隊というのは、移動に時間がかかるものです。
人間は、集団になればなるほど、団体行動に時間がかかるのは言うまでもありません。
例えば古代ローマ軍の一日の行軍速度は30kmだったそうです。
重い装備と食料を背負って、人間の集団が行動するのです。これでも当時では類を見ない早さでした。まして、アリティア軍はレナをはじめとした非軍人の女性が多く在籍します。普通に考えれば、どうしたって移動速度が鈍くなりがちなのです。
それを補うとしたら、やはり海上移動以外に考えられないのです。
つまりアリティア人は他国民よりも海運能力が高いとするのは不自然なことではありません。
話は逸れますが、私はアカネイア大陸の広さはほぼ地中海相当だと考えています。
さすがにこれ以上の広さになると、いかにファンタジー世界とはいえ、マルスの行軍速度が異常すぎです。
ジェイガンの存在
ジェイガンといえば、ファイアーエムブレムファンにとっては一つの象徴のような名前です。すなわち「成長しない、初期のお助けキャラ」という意味で。
しかし、ジェイガンは高齢とはいえ、アリティア国、そしてアカネイア大陸の最後の希望(ファルシオンを扱えるという意味)であるマルスを託されるくらいですから相当に優秀な存在のはずです。
私は常々不思議に思っていました。
なぜコーネリアスはジェイガンをアカネイア救出作戦のときに伴わなかったのだろうかと。
私はコーネリアス出陣時、マルスはアリティア国内に居残っていたと考えておりますが、その留守番役にジェイガンも加わっていた。なぜか。
一つは高齢のためでしょう。
ですがアカネイア救出作戦はアリティアにとっては一大決戦です。ジェイガンが本当に将軍として優秀なら、コーネリアスは彼を戦場に伴ったはず。
そこで私の仮説なのですが、本来ジェイガンは騎兵隊を率いた経験はなく、宮廷騎士団内での地位が低かったのではないかというものです。
原作ゲーム内で、ジェイガンのクラスはパラディンです。しかしそのレベルは1。武力も、成長したカインやアベルに比べるとかなり低いです。
その理由を考えると、ジェイガンは、優秀な能力を持ち、功績があってパラディンに叙勲されてはいるものの、本来の任務は騎兵隊の指揮ではなかったから、という結論へ至ります。
であればこそ、コーネリアスはジェイガンを伴わなかったのではないかと思うのです。
ではジェイガンの本来の任務とはなんだったのか。
それはアリティア海軍の指揮官だったのではないかというのが私の想像です。
アカネイア大陸では、海戦が起きるほどの造船能力がありませんでした。
グルニアは他大陸との貿易をするなど、造船能力自体はありそうですが、軍の主力は騎馬兵です。海軍を養うという発想はなかったのではないか。
一方、アリティアはアカネイア大陸のほぼ中央に位置します。
いかにも交易の拠点となりそうですし、となると海運能力も高い。補給を船で済ませるという発送にもなりやすい。
とはいえ、補給部隊の隊長が宮廷騎士団での序列が高かろうはずがない。これが暗黒戦争発生時のジェイガンの地位だったのです。
そして、ようやくタリスに落ち延びて気がつけば、序列の上ではジェイガンがもっとも高位だった。そこで彼は仮の宮廷騎士団の団長に任命されたわけです。
ゲーム中盤以降、ジェイガンの存在感は皆無になりますが、彼はマルスの後方支援として、補給物資の輸送や、兵団の輸送の任務に携わっていたのではないか。
傍証として、ゲーム中のグラフィックを見ると、ジェイガンはかなりの日焼けをしていることも理由に挙げられます。これこそ、彼が船乗りの証と見てもいいのではないでしょうか?
マルスの国外逃亡を託されたのも、その船乗りとしての経験からではないでしょうか?
ファイアーエムブレム紋章の謎(SFC中心)を始めるにあたって
もし、自分がオタクだとしたら、自分をオタクコンテンツに引きずり込んだきっかけはなんだったのか?
たまにネットで見かける話題ですが、今思えば、私の場合は箱田真紀さんの「ファイアーエムブレム」だったと思います。
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