アリティア海運国説とジェイガンの地位
この考察の大元は「考えるたのしむ」のとげげ氏の説に由来します。
アリティアという国は、元は同じ国であったグラを含めて島国であるとされています。
我々の世界で言うと、イギリスのようなものなのでしょうか。
とげげ氏も言及していますが、暗黒戦争で4代目国王コーネリアスが戦死した後、マルスははるか遠い辺境の島国タリスまで落ち延びていますが、これはアリティアが海運国であり、タリスまで海へ向かうルートを持っていたから可能だった、というのがとげげ氏の説です。
自分もこの説に大いに賛成です。
マルスは604年タリスから挙兵し、翌605年には暗黒戦争を終結させています。
その間に、オレルアン、アカネイア、グラ、カダイン、アリティア、グルニア、マケドニアの7王国すべてを占領、開放しているのですから恐るべき速さです。
もちろん、アリティア軍には現地の有力者がいますから、占領後はすみやかに有力者へ主権を渡し、政治的な問題を回避していたのでしょうが、それにしても速すぎる。移動速度が尋常ではない。
そもそも軍隊というのは、移動に時間がかかるものです。
人間は、集団になればなるほど、団体行動に時間がかかるのは言うまでもありません。
例えば古代ローマ軍の一日の行軍速度は30kmだったそうです。
重い装備と食料を背負って、人間の集団が行動するのです。これでも当時では類を見ない早さでした。まして、アリティア軍はレナをはじめとした非軍人の女性が多く在籍します。普通に考えれば、どうしたって移動速度が鈍くなりがちなのです。
それを補うとしたら、やはり海上移動以外に考えられないのです。
つまりアリティア人は他国民よりも海運能力が高いとするのは不自然なことではありません。
話は逸れますが、私はアカネイア大陸の広さはほぼ地中海相当だと考えています。
さすがにこれ以上の広さになると、いかにファンタジー世界とはいえ、マルスの行軍速度が異常すぎです。
ジェイガンの存在
ジェイガンといえば、ファイアーエムブレムファンにとっては一つの象徴のような名前です。すなわち「成長しない、初期のお助けキャラ」という意味で。
しかし、ジェイガンは高齢とはいえ、アリティア国、そしてアカネイア大陸の最後の希望(ファルシオンを扱えるという意味)であるマルスを託されるくらいですから相当に優秀な存在のはずです。
私は常々不思議に思っていました。
なぜコーネリアスはジェイガンをアカネイア救出作戦のときに伴わなかったのだろうかと。
私はコーネリアス出陣時、マルスはアリティア国内に居残っていたと考えておりますが、その留守番役にジェイガンも加わっていた。なぜか。
一つは高齢のためでしょう。
ですがアカネイア救出作戦はアリティアにとっては一大決戦です。ジェイガンが本当に将軍として優秀なら、コーネリアスは彼を戦場に伴ったはず。
そこで私の仮説なのですが、本来ジェイガンは騎兵隊を率いた経験はなく、宮廷騎士団内での地位が低かったのではないかというものです。
原作ゲーム内で、ジェイガンのクラスはパラディンです。しかしそのレベルは1。武力も、成長したカインやアベルに比べるとかなり低いです。
その理由を考えると、ジェイガンは、優秀な能力を持ち、功績があってパラディンに叙勲されてはいるものの、本来の任務は騎兵隊の指揮ではなかったから、という結論へ至ります。
であればこそ、コーネリアスはジェイガンを伴わなかったのではないかと思うのです。
ではジェイガンの本来の任務とはなんだったのか。
それはアリティア海軍の指揮官だったのではないかというのが私の想像です。
アカネイア大陸では、海戦が起きるほどの造船能力がありませんでした。
グルニアは他大陸との貿易をするなど、造船能力自体はありそうですが、軍の主力は騎馬兵です。海軍を養うという発想はなかったのではないか。
一方、アリティアはアカネイア大陸のほぼ中央に位置します。
いかにも交易の拠点となりそうですし、となると海運能力も高い。補給を船で済ませるという発送にもなりやすい。
とはいえ、補給部隊の隊長が宮廷騎士団での序列が高かろうはずがない。これが暗黒戦争発生時のジェイガンの地位だったのです。
そして、ようやくタリスに落ち延びて気がつけば、序列の上ではジェイガンがもっとも高位だった。そこで彼は仮の宮廷騎士団の団長に任命されたわけです。
ゲーム中盤以降、ジェイガンの存在感は皆無になりますが、彼はマルスの後方支援として、補給物資の輸送や、兵団の輸送の任務に携わっていたのではないか。
傍証として、ゲーム中のグラフィックを見ると、ジェイガンはかなりの日焼けをしていることも理由に挙げられます。これこそ、彼が船乗りの証と見てもいいのではないでしょうか?
マルスの国外逃亡を託されたのも、その船乗りとしての経験からではないでしょうか?