ADHDを疑った自分が、心療内科に行き、即座にストラテラを処方された話
ごく簡単に言えば、「不注意、落ち着きがない」ことで日常生活を困難な症状のことを指します。私の場合ですと、不注意で単純な書類仕事でミスを連発したり、同じミスを繰り返したりするのが顕著な症例です。
発達障害の名前の通り、脳の発達が通常と異なっているために起きる障害であり、断じて「怠け者、無責任」だから起きるわけではないのですが、なにせ、脳の障害というのは外からは見えません。そしてADHDという病名もまだ世間に認知されているわけではなく、なかなか理解を得られません。
まして、自分自身でもADHDであるかどうかについてさんざん悩みました。
知人に心理療法士を目指している学生さんがいたのですが、その方の見立てでも「クロスケさんは違うと思いますよ。ADHDの人は、もっとダメですし。クロスケさん、しっかりしているじゃないですか」
そう言われたこともあります。
ですが、最近、自分の不注意があまりにもひどすぎたので、ついに心療内科に行くことにしたというわけです。(ちなみに、ADHDはある程度、学習によって改善できるので、失敗ばかりしている自分は、それなりに対応ができていたのでしょう)
この記事は、自分の変化を記録するための備忘録であり、同じような不安を抱えている人への参考に書いております。私自身、いろんな人のブログを読ませていただきました。
もし、自分がADHDかもしれないと思われる方、ぜひともご参考にしてください。
まずは「発達障害支援センター」というところに電話しました。
話は先週の月曜日にさかのぼります。
とにかく情報がほしかった私は、市の「発達障害支援センター」というところに電話を掛けました。
ある程度情報収集していたので、「発達障害支援センター」という場所が『発達障害だと認定された人を支援する場所』であり、発達障害かどうかまだ分からない人には何もしてくれないということは理解していました。
とはいえなにしろ公共の施設ですし、いきなり心療内科に電話するのはハードルが高いと感じていた私は手始めに「発達障害支援センター」に電話して情報収集することにしたのです。
電話に出たのは若い感じの女性の方でした。
聞かれる内容も予想通りで、どんな症状なのかを軽く聞いてくれましたがそれだけです。「ADHDを診断してくれる病院はありますか?」と聞くと、いくつかの病院を紹介してくれました。(ただし、これは発達障害支援センター毎に方針が異なるようで、どこでも紹介してくれるとは限りません)
こういう場所で紹介される病院ですから、極端な外れはないだろうと安心して、次のステップに進むことができました。
心療内科を受診するにあたって、自分の優先順位を決めた。
治療する以上、病院を選ばなくてはいけません。
なぜなら、薬を処方してもらうには医師の診察が必要だからです。
ところでADHDは脳の障害です。
どんなに頑張っても自分の「不注意」という特性が無くなる、完治するということはあり得ません。なぜなら元から「そういう(注意力のための)機能が欠けている」からです。
つまり医者にかかっても治らないし、完璧な解決策など元から存在しない。
これをきちんと理解していないと、医療に多くを期待して失敗してしまうことは明らかです。大切なのは自分の「不注意」をいかにして軽減させるか。ここにあると自分は考えました。
そこで病院選びのポイントは2通りに分かれると考えました。
1)発達障害でも上手に生きていけるようなカウンセリングもしてくれる病院を頑張って探す。
2)脳の機能を改善する薬(ストラテラ、コンサータ)を早く処方してくれる病院で妥協する。
1番の病院の方が、長い目で見ればよい病院かもしれません。
しかしADHDの啓蒙活動をなさっている「大人のADHD生活」さんは以下のようにおっしゃっていました。
成人発達障害と折り合いをつけて社会生活を送るのであれば、医療は以下の役割と割りきって利用しましょう。
●自立支援を申請し、安い金額で高額な薬を処方してもらえるところである
●医師はあくまでも「診断」と「治療」が役目である。相談するところはでない
●生活の相談や悩み相談は、カウンセラーか役所・保健所の相談係に話すほうが確実に解決へすすめる
自分の場合は、「まずは投薬治療で自分が変化するのかを試してみたい。医者に人生相談をしても仕方がない」と割り切り、とにかく受診してくれるところ、処方をしてくれそうなところ、を選ぶことにしました。
まずは自分がADHDなのかを確かめる。
次に投薬治療で改善されるかどうかを確かめる。
今後のことは、そのあとで良いと思ったのです。
1件目のクリニック
ここは比較的新しめのクリニックです。ここをまず最初に選んだのは、電車の駅から近く、通いやすいからです。
電話をすると、若い感じでハキハキした女性が出ました。
自分がADHDじゃないかと疑っており、受診したいと言ったとたん「それでは最初に検査をしてもらいます。検査には1万5千円かかり・・・」とお金の話が始まりました。
たぶん、お金のトラブルが多いのだろうなあとは思いますが、最初からお金の話をされると、さすがに心象が良くありません。
予約が1か月後とネットで聞いていたのよりも早かったのは意外でしたが、「よくわかりました。検討させてください」とだけ言って早々に電話を切りました。
2件目のクリニック
こちらはネットで調べた限りでは候補の中で一番古い診療所です。
バスで通院しなくてはならないので第一候補からは外していましたが、第3候補よりは通いやすそうなので次にこちらに電話しました。
するとこんどは落ち着いた感じの女性が応対してくれました。
「まずは一度診察にきてください。予約は水曜日の3時と来週の月曜日の3時が開いています」
と、先ほどのクリニックよりもさらに早い時期に診断してもらえることが分かりました。当たり前ですが、検査費用やらなにやらのお金の話もありません。なぜこんなに早く診察してもらえるかというと、このクリニックは一週間分の予約しか取らないのだそうです。したがって、次の週の予約なら比較的簡単に取ることができるのだとか。
予想外の展開の速さでしたが、とりあえずこのクリニックに行ってみることにしました。受診だけでしたらそこまでお金もかからないし、なによりすぐに診てもらえるのは魅力だと思ったからです。
そして受診。あっという間の診断。
そして本日、受診してまいりました。
クリニックは駅前の雑居ビルの上階にありました。そのビルのある通りは何度も通ったことがあるのに、こんなところにクリニックがあるとは全く知りませんでした。
心療内科は入るのに抵抗がある人もいるでしょうし、こういうところにひっそりとあるのかもしれませんね。
まずは簡単なテストを受けました。
まずは成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)
こちらを渡されました。ネットでも一度やったことがあるので、そんなに問題はありません。もう一つ、簡単なアンケートを書いて待ちます。
けっこう待たされると聞いていたのですが、30分ほどで呼ばれました。月曜日で空いていたのかもしれません。
医師の診断はとても機械的
さっそく問診がはじまりましたが、もはや定型文ができているのか、お医者さんはすらすらとよどみなく質問してきます。
なぜ自分がADHDだと思ったか、どんな症状があるか、家族構成、子供のころ、学生のころ、社会に出てからの生い立ち等々。カルテの空欄を上から順番に埋めていく形式なのがよくわかります。
ここは自分もあらかじめ聞かれるであろうと思っていた部分ばかりですので、多少のアドリブを交えてですが、けっこうすらすらと答えていくことができました。ADHDは、意外とこうしたプレゼンテーションが得意な人がいるらしいですが、自分はまさにそのタイプです。
このとき、実に自分がADHDっぽいなぁと感じたのは、質問されている内容よりもお医者さんの持っているペンや奥にあるペットボトルの種類、本棚の内容などに意識が次々と飛ぶのです。
自覚して一か月ですが、これほど自分がADHDだと感じたのは初めてでした。
そういうところも観察されていたのかも。
全部で20分くらい話したでしょうか。
お医者さんはカルテの最後に実に簡単に「ADHD(ADD)」と書き込んでくれました。
心療内科では診断には時間をかける、何度も通ってようやく認定されると聞いていたので、これも驚きです。
自分がよほど典型的だったのか、お医者さんが即断する方針だったのかはわかりません。しかし、薬をもらうことを目的としていた自分にとっては好都合です。
「投薬治療はやってみたいですか?」と聞かれたので、素直に「はい」と答えました。
「では、まずはストラテラから試してみましょう。ダメだったらもう一つの薬を試します」
その後、採血をし、次回は心電図も撮るとだけ言われて診察は終わりました。
合計しても1時間も経っていません。
すぐ近くの薬局でストラテラを処方してもらえました。
あっけなさすぎ。
このお医者さんの治療方針が正しいのかどうかは分かりませんが、自分にとっては最良の結果だったとは思います。
ちなみに今回かかった費用ですが、約1万2千円ほど。
噂には聞いていましたが、ほんと、高いですね。次回までに自立支援の申請の準備をしなくてはと思いました。
まとめ
ADHDを疑って、いきなりストラテラを処方されるのは、珍しいことかもしれません。
この記事を読んで、ストラテラをすぐに試したいと思う方はいらっしゃると思います。
ですが、副作用やその他、いろいろな問題のある薬ですので、どこのクリニックを使ったかとかはお教えすることはできませんので、その点はあらかじめご了承ください。
ただ、投薬治療をためしてみたかった自分には最良の結果だったことは疑いようもありません。やはり、勇気を出して診療所に行ってみるものです。
投薬治療を目的にクリニックを利用することを目的とするなら、私なりのポイントは以下の通りです。
・ADHDの診療に慣れている古めのクリニックを目指す。
・自分がADHDかもしれないと思ったポイントは恥ずかしくても的確に、正直に話す。
・投薬治療に興味があることをきちんと伝える。
ただ、私のように初回から処方されるのも正直どうかと思う部分もあります。
もし、自身のADHDを疑い、治療を検討されている方がおられても、あまり焦らず、長いスパンで治療を目指していくのが良いと思います。
次回は、ストラテラ服用1日目のお話しです。