ストラテラ体験記 服用一日目のこと
前回はいきなりストラテラを処方されたお話でした。
渡されたストラテラは1日合計40ミリグラム。これを朝晩2回に分けて飲むように指示されました。
お薬をいただいたのが午後の4時ごろ。
さっそく今晩から飲んでいいと薬剤師さんに説明を受けましたので、6時に食事をとったあと、午後6時30分にはじめてストラテラを服用しました。
ネットで調べたところストラテラの効き目はゆっくりで、徐々に効果が現れるとのこと。副作用で胃のむかつき、吐き気などがあることでした。
体調の悪化に備えて、とりあえず布団で変化を待ちます。
気が付くと15分を程寝てしまったようです。
そして目が覚めると7時。
驚いたことに、早くも変化が現れました。
変化1 世の中が静かになった
ADHDの特性として、常に脳が激しく動き回っているというものがあげられます。
目覚めたとき、比喩ではなく、世界は静寂に包まれていました。
「あれ、世の中ってこんなに静かだったっけ?」
本当にそう思いました。
変化2 自分が落ち着いているのに気が付いた。
偶然ですが、先週の月曜日もこの時間にちょっと散歩に出かけていました。
そこで、同じ道を散歩し、変化を確認してみることにしました。
まず感じたことは、体の軽いこと。これは寝ざめが良かったからかもしれませんが、そもそも私が寝覚めが良いということがほとんどありません。薬の効果かどうかは分かりませんが、先ほどの静寂と合わせて、非常に快適な気分でした。
散歩に歩いてみると、周囲の風景がすこし違って見えました。
思い返してみれば、自分は常にせわしなく周囲を見回していたなと思います。あちこちを見て、そわそわして、何かに追い立てられていたような気がします。
ところが、それがないのです。
ゆったりとビデオカメラで周囲を撮影しているような感覚でした。そして、何か物事を見ても「連想ゲーム」が始まりません。
たとえば、坂本という表札を見ると、坂本龍馬を思い出し、そこから海援隊、武田鉄矢、金八先生、という風に脳内で勝手に連想ゲームが始まっていくのですが、今日に限っては「坂本という表札」は「坂本という表札」のままです。
薬を飲む前、私はいわば映画の世界の住人でした。
風景は特殊なカメラで色鮮やかに映し出され、次から次へと連想が襲ってきます。
ところが、薬を飲んだ私は、現実世界の住人です。
風景は落ち着いて、面白みはありませんが、穏やかな時間を保っています。
この劇的な変化は、いわゆるプラセボ効果なのかもしれません。
ただ、こんな穏やかな気持ちになったのは、人生の中で初めてでした。
変化3 本が読めなくなった。
私は読書がかなり好きです。食事をするように本を読む、という言葉がぴったりくるくらい本を読みます。続き物の小説など、寝食を忘れて読みふけることがよくありました。
これはADHDの過集中のなせる業ですね。
実は、散歩に出た目的の一つに、ブックオフに行くことがありました。先週も偶然、散歩の途中に立ち寄ったのです。
ブックオフで適当な漫画を開きます。
すると、ここでも変化がありました。以前なら、どんな本でも最初は興味を持って眺めることができるのです。(ただ、すぐに飽きて読むのをやめる)ところが、今日は、「つまらなくても読むことはできるが、あまり集中できない」という生まれて初めての状態でした。
漫画を物語ではなく、絵としか認識できないのです。
世の中の本を読めない人の気持ちを初めて理解することができました。
もし子供のころに投薬治療を初めていたら、さぞかし感受性の低い子供に育ったことだろうと思います。投薬治療も一長一短です。
これはどうだと手に取ったのはスラムダンク。それも物語の最高潮の山王戦のクライマックス。
さすがの名作。これは引き込まれるように読めます。
ですが、ここでも変化がありました。漫画を没頭して読んでいるのではなく、全体的に読んでいる自分がいたのです。
あれ、こんなところに三井が描かれてたんだ。
この時の流川の表情、今まで気づいてなかったな。
これが良いことか悪いことかわかりません。ただ、分かったのは、以前よりも自分が物語に没頭していないという事実でした。
変化4 食欲不振
自分は食べるのが好きな方です。ところが、帰りがけに寄ったスーパーでは食品を見ると、胃がもたれるような感覚を受けました。とにかく、食べたくないという気持ちになります。
今のところ、ほかの方が訴えるのどの渇きなどはありません。
ただ胃が痛いだけで、吐き気もそれほどではありません。副作用はあまり出ていない感じですね。
ダイエットとは違いますが、食欲不振でもそれほど困らないので、許容できる範囲の副作用ですね。
以上が、1日目の自分の変化です。
何かのご参考になれば幸いです。
あ、もう一つ変化がありました。ブログを書くときに、あまりほかのサイトに浮気することがありませんでした。
これも、集中力の向上と言えるのでしょうかw