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豊洲がどうのこうのという前に築地を使い続けるのは大問題! 図解でわかる築地市場の問題点(前編)

ちょっと前のことになりますが、築地市場の移転延期が発表されました。

www3.nhk.or.jp

私としては、豊洲より築地の方がネームバリューあるよなぁなどとニュースを眺めていたのですが、最近すっかり売れっ子のおときた駿東京都議員の記事を読んで、私の保育園の主張考えが似ているなと思っているうちに、興味が沸いてまいりました。

 

otokitashun.com

そういうわけで、今回はこの「築地移転問題」を図解しています。

ちなみに移転先の豊洲の問題には今は触れません。情報が錯綜していますし、今回のテーマはあくまで「築地を使い続けるリスク」についてだからです。

 

余談ですが、私は図解を「自分の主張に使うのではなく、混沌とした事実を分かりやすく表現する」ために使うことを目標としており、あんまり政治的な話には立ち入りたくないなと思っています。あくまで自分は建設的な議論をするための道具でありたいとそう思っています。

ちょっと最近、政治的な主張に踏み入りすぎたという反省と自戒を込め、この築地問題を眺めてみたいと思います。

だめでしょ、築地

最初から匙を投げているような表現ですが、調べれば調べるほど、築地市場は「食品を取り扱う場所としてふさわしくない!」という結論にしか到達できません。

もし築地と同じような建築物を建て、そこで飲食物を取り扱いたいと言っても、消防庁も保健所も決して営業許可を出さないでしょう。

築地は古くから存在している施設ゆえに存続を許されているとしか思えません。

 

問題点は大まかに分けて2点。

1、築地市場は建築的観点から見て、存続させることそのものが危険な状態である。

2、個人の力では対応できないレベルで衛生状態が悪い。

この問題点を前後編に分けて図解していきたいと思います。

最大のリスク。それは【首都圏直下型地震

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まずは非効率な物流

築地は築82年の旧い建物です。戦前に建てられた建物ということですね。

もともとは鉄道輸送を想定した施設のため、ウィキペディアから引用した以下の写真をご覧ください。建物全体がカーブしているという変わった建物です。

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しかし現在では鉄等輸送は廃れ、もっぱらトラックによる運搬が主流になっているようです。

ところが、もともとトラック輸送を想定していない建物であるため、あちこちで事故が起きているという話です。年間400件という話もありしたが、確実な裏は取れませんでしたので、事故が多発という表現にとどめております。ただ、築地移転を検討している都議会でも築地の交通事故の多さは話題として取り上げられており、事故が多いことについては紛れもない事実のようです。

 

以下のサイトが築地問題を詳細に取り上げてくれています。この中で、築地のトラック輸送の導線がなぜだめなのかも解説してくれています。ただ、以前築地移転騒動(2010年)があったときに主に更新されていたサイトなので、新聞記事へのリンクが切れてしまっているのが惜しい。

d.hatena.ne.jp

ともかく、築地が「非効率な物流」状態にあることは紛れもない事実なようです。

そして老朽化

そして何より、老朽化が激しいのが問題です。

小池都知事が視察に訪れたあとの記者会見で以下のように述べいます。

実際に築地市場に入ってみると、壁が落ちたり、金具が落ちてきたり、ある意味、危険な状況でした。

www.sankei.com

 現地に赴いた知事がこのようにコメントされているくらいですから、老朽化は疑いようもない事実と考えて良いでしょう。また、ほかにも天井から鉄板が落下してきたり、壁が崩落するなどという事故も起きたことがあるようです。

とどめにアスベスト

戦前に建てられた建物ですので、当然のように建材にはアスベストが使われております。このアスベストが問題になったときに築地市場も当然対策工事はしているようですが、それでも毎年アスベスト対策費が運営計画に盛り込まれるなど、やっぱり問題は残っているようです。

 

根拠が山本一郎さんのツイートのみで申し訳ないのですが、こういうことで嘘をつく人ではないので。すいません、どうしてもここで言及されている築地市場運営計画というものがネットでは見つかりませんでした。(裏の取り方をもっと学習します)

ともあれアスベスト自体は石原元都知事も言及していますし、小池都知事も言及しているので、存在自体は間違いないでしょう。

首都圏直下型地震は常に想定しないと

現状、築地は何とか営業できています。それは築地を長年使い続けてきた人々の工夫の成果なのでしょう。 

ですが築地市場を現状のまま運営するとなったとき、常に考えておかなければならないのは首都圏直下型地震が起きた時の影響です。人間の力など及ばない大災害が起きてしまったとき、元からあった築地市場の諸問題はさらに悪化します。

そして問題なのは、築地が機能しなくなると、長期間にわたって食料流通に大きな影響が出るということなのです。

物流について

 もとから車の渋滞が発生しているという築地市場ですから、地震が起きた直後ともなるとその物流の混乱は致命的なものになるはずです。果たして市場の中を車は通れるのでしょうか? 

物流機能がマヒしてしまうことは当然予想すべきです。

老朽化について

これだけ老朽化した建物ですからいつ倒壊してもおかしくはありません。幸い、前回の東日本大震災は持ちこたえることができましたが、次の首都圏直下型地震があのときよりも規模が小さいと決めつけることはできません。

むしろ、あの時の地震で建物自体にダメージが蓄積している可能性だってあります。

それ相応の対策はなされていると思われますが、「壁が落ちたり、金具が落ちてきた」と小池都知事に改めて言及されているくらいですから、楽観視することは到底できません。

もしも建物が倒壊してしまったら築地の中にいる人々の生命に関わります。また、これらの人々が担っていた流通機能が機能しなくなってしまいます。近い将来に地震が起きることは分り切っているわけです、倒壊の危険性のある建物を使用し続けてはいけないのではないでしょうか。

アスベストについて

倒壊のリスクはまだ可能性の問題とも言えます。ですが確実に予想されるのが地震によってアスベストが飛散することです。アスベスト自体は呼吸器に入らない限りはそれほど危険視しなくてよいらしいですが(つまり食べても大丈夫)、それでも地震によって建物に強い負担がかかり、アスベストが飛散してしまえば場内は人が立ち入れる状態ではなくなってしまいます。むろん物流機能はストップです。

 

築地市場が使用不可になったときのことを考えよう。

築地市場は古い建築基準によって建てられた建物です。幸いにして、今まで大きな地震にも耐えてきたわけですが築82年の建物に過大な期待を抱くわけにはいきません。

 

もしも地震によって築地市場が使用できなくなるとどうなるでしょうか。

 

近年では築地市場を通さない食品流通が増えてきたとはいえ、それでも首都圏の食料流通に大打撃なのは間違いないでしょう。特に築地市場で取り扱われている海産物は野菜よりもさらに傷みが早いわけで、少しでも食料を確保したい緊急事態にも関わらず、これらの食料が無駄になってしまいます。

また、物流の回復までに長い時間がかかってしまうというリスクもあるでしょう。

 

以上のような理由から、築地市場を使い続けるわけにはいかないと私は考えます。

とにかく地震が来る前に築地市場から食品流通の拠点を別の場所に変えること。

これは私たちが地震から生き延びるための必要条件と言えるのではないでしょうか。

 

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後編は建築の問題よりもさらに問題の衛生状態についてのお話しになります。