安倍総理がニューヨークタイムス紙に投稿した文書を図解してみました。
国連に参加するためにニューヨークへ赴いた安倍首相は、同時期にニューヨークタイムスに「solidarity Against the North korean Threat」と題した文書を寄稿しました。
この文書で安倍首相は、度重なる北朝鮮の挑発に対して、国際社会が強く連帯し圧力をかけなくてはならないと主張しています。
この文書には多くのメッセージがこめられており、それを一枚の図にすることは不可能でした。そこで筆者は、首相が米国の普通の人々にもっとも伝えたかったことにテーマを絞り安倍総理の寄稿を図解してみました。
まず安倍首相は、北朝鮮に対して国際社会が強く圧力をかけるべきだと主張しています。
この考えに対し、平和的な解決方法が別にあるのではないかという考えを持つ人もいるでしょう。安倍首相は今までの北朝鮮外交の歴史を簡潔に述べ、その手段はもはや採るべきではないと諭しています。
1990年代初頭、北朝鮮は核拡散防止条約や国際原子力機関から脱退しました。ここから北朝鮮の核問題が本格化していきます。
これに対し、日米韓の参加国は、軽水炉の建設や重油の提供、北朝鮮の債務を肩代わりするなど、温和な「外交優先の姿勢」で北朝鮮に非核化を求めました。しかし北朝鮮はこうした交換条件の「ご褒美」を受け取りつつ、陰ではウラン濃縮計画をすすめていたのです。
そこで2003年より、北朝鮮と日米韓に加え、中国、ロシアを加えた六か国で北朝鮮の非核化をメインテーマとした六か国協議がスタートします。この中で北朝鮮は朝鮮半島の非核化を約束していたにも関わらず、やはり陰では核開発を続けており、突如、地下核実験を実施し、事実上の核保有国と認められました。
北朝鮮は、国際社会との約束を無視し続けているのです。
さらには2017年9月、北朝鮮は弾道ミサイルを発射させました。
今や北朝鮮の弾道ミサイルは国際社会に重く差し迫った脅威としてのしかかっています。なにしろこれはアメリカやヨーロッパの国々までもが射程内に収められる飛距離を持っています。また化学兵器、あるいは核兵器すら搭載する能力をも保有しています。この兵器の能力をもって北朝鮮は国際社会を挑発し、今までのように利益を得ようと試みているのです。
歴史を顧みれば、北朝鮮の軍事能力は着実に高度化していることが見て取れます。ウラン濃縮計画から始まった北朝鮮の軍拡は、今やそれを弾道ミサイルに搭載して発射できるまでに至りました。北朝鮮に対して試みられた平和的な対応は全て無駄だったのです。
安倍首相が北朝鮮に対して厳しい対応を求めているのは、けっして彼が北朝鮮を憎んでいるからではありません。30年来の不誠実さからこの国を信用してはならないということ、対話は北朝鮮を増長させただけという歴史を知っているためです。
安倍首相がニューヨークタイムス紙に寄稿したのは、こうした事実を多くの米国人と共有し立ったからでしょう。筆者も同様に願ってやみません。日米が協力し、強い姿勢で北朝鮮に対応できれば、それは問題解決の大きな役割を果たすことになるでしょう。