自由惑星同盟の採るべきだった本当の政略
物語終結時、自由惑星同盟はラインハルト率いる帝国側によって滅亡させられてしまいました。
しかし、政略さえしっかりしていれば、仮にヤン・ウェンリーのような軍事的天才が居らずとも帝国側に勝つことが可能であったのではないかと考えております。
ラインハルトの巨大すぎるお小遣い
リップシュタット戦役後、ラインハルトは帰属財産を没収し、それを元手に軍事作戦を展開していきます。
ガイエスブルグ要塞をワープさせてみたり、ロイエンタールを陽動に使いながらの二方向作戦で類を見ない軍隊を展開させてみたり、それを維持し続けたり。あと軍事には関係ないですが、首都も建設中でしたね。
「戦いを嗜む」と言われたとおり、ラインハルトにとって軍隊はある意味で玩具であり、かなりわがままなお金の使い方をしていたと言えます。(大義はありましたが)
しかし、それでもなお余裕があったらしい発言がミッターマイヤーから出ており、裏を返せば「富の不均衡」がそれだけあったということが伺えます。要するにどんだけ貯金持ってったんだよってことです。
貴族が一方的に吸い上げて死蔵するだけだった資産
貴族たちはどんな資産を溜め込んでいたかについて原作には記述がありませんが、ラインハルトが即戦費として使用できたくらいですから、不動産ではなく動産であった可能性が高いです。要するに、土地建物のような現金化の難しいものでなく、すぐにお金に替えられるものですね。
作中あれだけの軍事行動をしてもまだ余裕のある動産を溜め込んでいたということは、実は帝国の経済はだいぶ危ない状況であったことが推察されます。ラインハルトの軍事活動は、ある意味、この死蔵されていたお金を無理やり消費する活動でもあったのでしょう。
お金は回ってこそのお金です。
よくお金は血流に例えられますが、貴族がこれほど動産を溜め込んでいたということは、血管のあちこちで動脈硬化が起こっていたわけで、いずれは帝国は経済危機で人民が生活していけない状態になっていたことでしょう。こんな不健全な社会が長い間保たれるわけがありません。
そして起こるのは叛乱です。
生活が原因の叛乱ですので、止めようがありません。
ラインハルトが現れなくとも、おそかれ早かれゴールデンバウム王朝は滅亡の危機に
その間同盟は何をしていれば良いか。
イゼルローンとフェザーンの二つの回廊に蓋をして、情報工作をするだけです。
同盟の豊かな暮らしを帝国の一般市民に見せつけ、叛乱を煽っているだけで良いのです。叛乱が起きたら、勝者になりそうなグループに政治的な交渉をもちかければ、対立も解消です。
帝国もまだ余裕があるうちは同盟に攻め込むことによって不満をそらそうとするかもしれませんが、両回廊の通過が困難なのは作中でも何度も実証されています。
同盟が本当に採るべきだった戦略。
それは専守防衛によって相手の自滅を待つこと。
まあ、じっと待つのって辛いから、現実的には難しいことでしょうけどね。